まさにヴィクトリー

ザ・ウォークメン『リスボン』
2010年11月24日発売
ALBUM
ザ・ウォークメン リスボン
前史のジョナサン・ファイヤー・イーターまで遡れば、彼らのキャリアは既に13年以上ということになる。ワシントンDCが生んだ蒼き暴れ馬時代からNYシーンのガレージ新星へ、そしてミュージシャンズ・ミュージシャンへと、その立ち位置と評価は年を追うごとに変遷を重ね、変遷と共に一歩ずつ彼らの本質にリーチし続けてきたとも言える。ザ・ウォークメンの最新作『リスボン』は、そんな彼らの間違いなくキャリア最高傑作、到達点のようなものだと思う。階段を一気に駆け上るジャンプアップ感よりも、長い助走距離を長い時間をかけて走り続けてきた先に見出した出口のような、そこに待っていた柔らかな光のような、深い感動を呼び起こす一枚なのだ。

未だかつてない厚みを持つホーン、未だかつてないヌケの良さを感じさせるコーラス、そしてシャープなギターの持ち味はそのままに、カントリーからマリアッチまで取り込みふくよかに広がっていくメロディ。アンダーグラウンドでストイックに無駄をそぎ落とし続けてきたウォークメンの美意識が、満を持してオーバーグラウンドへと、その美しい姿を日の下へと晒した一枚。(粉川しの)
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