異端児、正統へ

ミュー『エッグス・アー・ファニー』
2010年12月22日発売
ALBUM+DVD
ミュー エッグス・アー・ファニー
フレーミング・リップスとのカップリング・ツアーの熱も冷めやらないMEWだが、その際披露した新曲も収められたベスト盤がこちら。日本盤は全13曲分のビデオ・クリップ収録のDVD付で、世界初収録となる“パンダ”のPVではオルタナテイストなヨーナスの貴重な姿が。

未日本盤化の1stと2ndからも本作では1曲ずつ聴くことができ、5作目までの代表曲を網羅したこのベストが伝えるMEWの化けっぷりには凄まじいものがある。いちギタポ・バンドの印象も色濃かったデビュー当時から、徐々に複雑さを増したサウンドスケープはプログレを引き合いに出されるようになり、轟音+メランコリアという独自のスタイルを構築していったMEW。今ではヨーロッパではミューズ、アメリカではコールドプレイやレディオヘッドとの比較まで持ち出されているのはご承知のとおりだ。たしかに、世界的にもロック・バンドがスタイルやファッションと捉えられる向きもあった00年代以降、MEWのフェティッシュ志向はすなわち、純粋なる音楽との向き合い方ともイコールだった。すれすれの絶望は、インディ・ロックの希望であり続ける。(羽鳥麻美)
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