万人の心を揺るがすだろう圧倒的な傑作だ。歌声も歌詞もすべての楽器を自身で手がけた生々しいサウンドも、吉井にしか鳴らせない真実と高いクオリティを放っている。特に秀逸なのは《日曜日の朝が来て歯を磨いたら ここはまだ平和な場所だ/おはよう おはよう》というくだりだろう。洋楽詞に《HELLO》は腐るほど出てくるが、この《おはよう》はあまりにも革新的だ。政治家でも思想家でもない私たちが願う愛と平和とは、荒唐無稽な理想論ではなく、「今日も生きている」という事実、そして「おはよう」という相手が目の前にいるまさにこの現実ではないか。とこの曲は気づかせる。
吉井和哉の歌は、基本的にはすべてラブソングである。その対象が祖母や父親や親友であっても、すべて一対一の深い物語から生まれる。そして時折、君と僕との関係がこんな風に世界へと繋がって傑作となる。久しぶりに「みんなの歌」としての、吉井和哉の愛の歌を聞いた。
毒々しく背徳的な“リバティーン”の官能も、それを贖罪する“星のブルース”の静寂も、彼自身を超えた普遍性を持ちえているのが素晴らしい。(井上貴子)