老けてもピカピカの完璧デザイン

ジェネシス『ホエン・イン・ローマ...ジェネシス 2007』
2008年07月30日発売
ジェネシス ホエン・イン・ローマ...ジェネシス 2007 - ホエン・イン・ローマ...ジェネシス 2007ホエン・イン・ローマ...ジェネシス 2007
『そして3人が残った』編成での15年ぶりリユニオン・ヨーロッパ・ツアー・ファイナルのローマ公演(会場である古代遺跡=チルコ・マッシモに集まった観客、実に50万人!)の模様に、特典映像やドキュメンタリーも加えた5時間41分・DVD3枚組の作品。それこそ70年代プログレ信者からは売国奴の如く語られたフィル・コリンズのポップ路線はしかし、10年単位の時間による摩耗からジェネシスの核を守る、いやむしろ多少ディテールが摩耗したりすることで不気味なツヤと輝きをもって時代時代を照射するためのユニバーサル・デザインだった。というのが例えば今作の“混迷の地”や“トゥナイト、トゥナイト、トゥナイト”、“インヴィジブル・タッチ”といったモロ80sな楽曲のライブ・テイクが今でもアウトバーンを走れる馬力を擁している辺りからもわかる。

ディスク3には、06年のNYリハスタでの初打合せの模様が収録されている。「15年待ったよ」とか「長い曲がいつも問題なのは長いことだ」とかげらげら笑い合いながら猛スピードで15年の空白を埋めていく図は、まさにジェネシスというにこやかな狂気そのものだ。(高橋智樹)
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