輝ける懐古主義

デンジャー・マウス&ダニエル・ルッピ『ローマ』
デンジャー・マウス&ダニエル・ルッピ ローマ
デンジャー・マウスは00年代の10年間で、もっともスリリングで革新的な成果を上げてきたプロデューサーである。そんな彼がイタリアの作曲家ダニエル・ルッピと組んで5年の歳月を費やし、「架空のマカロニ・ウエスタン映画のサントラ」という常人の斜め上を行く発想を貫いたアルバムがこれ。本質は完全なる趣味的プロジェクトなのに、ジャック・ホワイトとノラ・ジョーンズの参加という最高のエッセンスを加えて、きっちりミュージック・シーンの「事件」に仕上げてくるのがニクい。中身は本当にディープなエンニオ・モリコーネへのオマージュで、冒頭曲〝ローマのテーマ〟のエッダ・デル・オルソのソプラノ・ヴォイスが響くと、陽炎の中を歩くガンマン姿のクリント・イーストウッドすら脳裏に浮かぶ。楽器も機材もスタジオも、めちゃくちゃ金をかけてすべて当時と同じアナログにこだわり抜いて、それでもこれが時代錯誤に聴こえないのは、4人がまさに時代の遺産から「今」を抽出する天才だからだ。ジャックが歌う3曲はそれだけでも貴重だし、ノラの普段よりちょっとカッコつけた歌い方にもシビれた。必聴です。(松村耕太朗)
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