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ファウンテインズ・オブ・ウェイン『スカイ・フル・オブ・ホールズ』
2011年07月20日発売
ALBUM
ファウンテインズ・オブ・ウェイン スカイ・フル・オブ・ホールズ
プロデューサーはクリスとアダム、レコーディングはNYのスタジオにて。99年の『ユートピア・パークウェイ』以来4年周期での新作リリースが恒例化しているFOWの新作は、これまた前作から4年後にきっちり届いた季節の便りのようなアルバムだ。デビューから15年、彼らは本当に「不変であること」を一義においたコンセプチュアル・アートみたいなバンドになってきた。クリスとアダムがそれぞれの別バンドでFOWとは真逆の変化や進化を充足させた音を鳴らしているかと言えばそうではないので、変化や進化とは別の価値観を持っている人達なのだろうし、彼らの場合はその一貫してアルチザンな姿勢がもはやアグレッシヴに思えるほどだ。本作にも見事に粒のそろった佳曲が最初から最後まで詰まっている。そこに陰影があるとしたら、穏やかな導入でアコースティックなナンバーが続き、中盤はもうちょいパワポ寄り、そして後半はカントリー&フォークの素朴が浮き上がってくるという展開だ。しかしそれも些細な凹凸に過ぎない。永遠と紡がれ続けるFOWのエヴァーグリーンのタペストリーが、また少し完成に近づいたのではないか。(粉川しの)
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