マイアミの誇る弾丸ラティーノ・ラッパーにして、自曲でも客演でもチャートを荒らしまくるヒット・マシーンとして、過去最高の期待値を受けて大ヒット中の『プラネット・ピット』。何でピットブルだけがこんなに勝ちまくれるのか。各曲のゲストの豪華さはもちろんだが、感服すべきは世界中のクラブでどんなDJがかけても盛り上がりを保証する、それ以外のエゴは後回しでいいという、ある種のストイシズムだと思う。アルバム全体で見ると、そういう意味で全曲シングル・レベルに達している分、ニーヨらとの先行シングル“ギヴ・ミー・エヴリシング”やクリス・ブラウンとの“インターナショナル・ラヴ”の圧倒的ポップさよりも、他曲の反則的なクオリティに驚かされる。自分が宣伝しているウォッカのネタを交えつつ、暗に「俺にオシッコかけてよ」と歌いまくるマーク・アンソニーとの“レイン・オーバー・ミー”(!)とか、「幸せなら手を叩こう」のメロで「君がセクシーなら手を叩こう」と歌ってしまうデヴィッド・ゲッタのプロデュース曲“サムシング・フォー・ザ・DJs”なんか、そりゃフロアでかけたくなるわ。納得。(松村耕太朗)