フェアな勝負作

ザ・サブウェイズ『マネー&セレブリティ』
2011年09月21日発売
ALBUM
ザ・サブウェイズ マネー&セレブリティ
前作『オール・オア・ナッシング』は色んな意味で特殊な一枚だった。アルバム前後にはビリーとシャーロットのバンド内恋愛の終わりがあり(シャーロットは後に別の男性と結婚)、ビリーはポリープの手術でヴォーカリスト生命の危機にも立たされた。そんなプライヴェートでの七転八倒は当時二十歳そこそこだった彼らにとっては表現の根底に直結して揺さぶられて当然だったろうし、彼らの日常が直に反映された生々しさこそがサブウェイズの魅力の一つだったのもたしかだ。しかしあれから3年、久しぶりにフラットな状態で作られた本作の痛快な魅力を目の当たりにすると、やはり前作はアクシデントの産物だったと思わざるを得ない。

アルバムのタイトルにも垣間見えるように、本作もまた前作同様にハードでダークなテーマを内在させた作品である。しかし本作には外に向かって攻撃に転じ、闇を振り切る逞しさがある。プロデューサーのスティーヴン・ストリートも大正解の人選ではないか。ノイジーでパンキッシュな本作を最終的に珠玉のポップ・ソング集に纏め上げているのはストリートの手腕。M3なんて彼ら史上ピカいちのメロディ・ライン!(粉川しの)
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