数年前に海外でのコンサートを休止すると発表したブロンディ。新作はもう期待できないのかな、とか勝手に思っていたので、本作は嬉しい知らせだった。もっとも、2008年には『恋の平行線』のリリース30周年を祝う大規模なワールド・ツアーを敢行したわけで、それもあり彼らの中に新たな創作意欲が再び湧き上ってきたということなのかもしれない。果たして本作は、ブロンディのポップの最良の部分が詰った内容といえる。ブロンディ流のエレクトロ解釈ともいうべき序盤から、“夢見るNo.1”的なレゲエ・ナンバーを挟み、ディスコやフレンチ・ポップ、スパニッシュなどなど、曲調はヴァラエティ豊富。8年前の前作や1999年の復帰作はロック感が前面に立ち、少々気負いのようなものも感じられたが、本作には自然体の回春がある。今年初めの企画盤ではデボラとフランツが共演を果たし、ガガも彼女にリスペクトを表明するなど、ブロンディはいま好機の再来の直中にいるといえるのかもしれない。そういえばサーストン・ムーアが以前、アートとポップが共存した理想作として『恋の平行線』を評したことを思い出した。(天井潤之介)