『クルエラ』を彩る名曲の数々――最高潮の“女王バトル”で、イギー・ポップの原点“アイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグ”がノイジーに轟く!

『クルエラ』を彩る名曲の数々――最高潮の“女王バトル”で、イギー・ポップの原点“アイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグ”がノイジーに轟く!

名作アニメ『101匹わんちゃん』(61年)でダルメシアンの子犬たちを誘拐しようと企んだディズニー史上最“凶”の悪女キャラ、クルエラ・ド・ビル。その過激でパンキッシュな「誕生秘話」を、エマ・ストーン主演で描いた実写映画『クルエラ』は、実は「ロック・ムービー」としても痛快な一作だ。

70年代ロンドンを舞台にした物語のBGMには、ザ・クラッシュクイーンドアーズブロンディなどの人気曲が多数選ばれ、新旧のファッション・デザイナーが繰り広げる“真の女王”バトルをエキサイティングに彩っていく。中でも「最高潮にアガる!」と評判なのが、若き日のクルエラと仲間たちがロンドンの公道でゲリラ的に開催するファッション・ショー内での灼熱のライブ・シーン。そこで演奏される楽曲は、なんと“アイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグ”である。イギー・ポップのワイルドすぎる音楽キャリアの“原点”としてあまりにも有名な同曲は、もともとザ・ストゥージズが69年に発表したデビュー・アルバムに収録されていたナンバー。その後、数多くのガレージ・パンク・バンドによってカバーされてきた永遠の名曲だけど、今回の『クルエラ』バージョンは、変に小細工はせず、最強にノイジーなギター・ソロを含め、オリジナルのザ・ストゥージズ版に極力寄せたアレンジでのカバーになっているところがポイント高めなのだ。

映画全体のパンクっぽいノリとの一体感もさることながら、ただ、それだけが理由で選曲されたわけじゃない。『101匹わんちゃん』にルーツを持つ本映画の中では、宿敵バロネス(エマ・トンプソン)のペットのダルメシアンの犬たちが重要なサブキャラとして描かれており、この曲の演奏シーンにも、ちゃんと深い“メッセージ”が込められてる……って、これ以上はネタバレになっちゃうから、もうこのへんで止めておこう。ともあれ、ディズニー史上最高の「犬アニメ映画」から生まれた新パンクの女王と、ロック史上最高の「犬ソング」の夢コラボ、くれぐれもお見逃しなく。ウ~、ワンワン、ワン!(内瀬戸久司)




『クルエラ』の記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

『クルエラ』を彩る名曲の数々――最高潮の“女王バトル”で、イギー・ポップの原点“アイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグ”がノイジーに轟く! - 『rockin'on』2021年9月号『rockin'on』2021年9月号

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