帰ってきた! お下劣テロリスト

スパンク・ロック『エヴリシング・イズ・ボーリング・アンド・エヴリワン・イズ・ア・ファッキング・ライアー』
2011年10月12日発売
ALBUM
スパンク・ロック エヴリシング・イズ・ボーリング・アンド・エヴリワン・イズ・ア・ファッキング・ライアー
5年前、スパンク・ロックの登場はふたつの意味で衝撃的だった。ひとつはゲットー由来のベース・ミュージックの爆発力が、いつの時代にも有効だと改めて証明したこと。もうひとつはM.I.A.やディプロなどと同時多発的に、よりブリーピーでバウンシーなビートのメインストリーム化への道筋を開いたことである。その後、解散説まで流れていた中、ついに完成したセカンド・アルバムは、ドイツからボーイズ・ノイズをプロデューサーに迎えたものになった。前作と比べると、さすがにビートとベースの不穏なほどの生々しさは消えて、すっきりしたプロダクションの中で改めてブリブリと派手で下世話なサウンドが組み立てられている。つまりは5年の間に進化を重ねたエレクトロ・サウンドの「今」にきっちりと照準を合わせてきたわけで、ひたすらお尻とオッパイとセックスの隠喩を連呼していたリリックも、心なしかシリアスになった気がする。そして全体にラップの切れ味が上がったことが、その分の聴きごたえを補って、アルバムとしての完成度を高めている。サンティゴールドが歌う“カー・ソング”はメロウでポップな新機軸。(松村耕太朗)
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