手元の資料でははっきりしないが、完成途上だったトラックをピーター中心で仕上げたものと思われる。28年前の作品と比較するのもナンセンスだが、ミック・カーンの得意なフレットレス・ベースを軸とした奇妙なバック・トラックにピーターがゲスト・ヴォーカルで歌っているような微妙なバランスの悪さが良くも悪くもダリズ・カーだったとすれば、今作はピーターの個性とミックのアクの強さがはるかに自然と溶け合っている。中近東風のエキゾティシズムを感じさせる無国籍風なムードは以前通りで、ストリングスやピアノなどをフィーチュアしたディープで時にクラシカルなトラックは、音楽として完成度が高い。
個人的にはファーストよりもきちんとしたポップ・ミュージックとして成立している本作のほうをとるが、ミックのベースを中心に聴きたい人にはやや期待外れかも。(小野島大)