3年前の傑作『イグノア・ジ・イグノラント』を残してジョニー・マーは去ってしまったけど、それをバネにして、しっかりと次のステージに上がるたくましいところを聴かせるジャーマン兄弟によるザ・クリブスの新作。シカゴで"爆音インディ魔王"スティーヴ・アルビニ、ニューヨークではデイヴ・フリッドマンと、ガツンと来て耳に残るサウンド作りなら任せておけの最強プロデューサー・コンビを起用し、さらにロンドンではセルフ・プロデュースと、やりたいことをやりきった思いっきりのいい音を鳴らしている。
もともとギター・バンドとして胸に深く染み込むフレーズを連発する連中であったが、今回はさらにギターの音を分厚くしたり、逆に薄くして押し込んだりすることで過剰なまでの衝動を浮かび上がらせてくれる。ティーンエイジ・ファンクラブやウィーザーに通じるポップ感覚を下敷きに破綻を恐れ無いラウドな世界を作り上げたとも言える。このためにアルビニもフリッドマンも必要だったというのがよくわかるのだ。もちろん得意の甘酸っぱいような曲の魅力も健在で前作に劣らず愛聴しそう。ライヴも見もの。(大鷹俊一)
ジョニー、元気かい?
ザ・クリブス『イン・ザ・ベリー・オブ・ザ・ブレイズン・ブル』
2012年04月25日発売
2012年04月25日発売
ALBUM