3兄弟の三者三様

ザ・クリブス『24/7 ロック・スター・シット』

2017年09月06日発売

ザ・クリブス 24/7 ロック・スター・シット
クリブスは過去にポップとパンクの両軸を行ったり来たりしてきたバンドだ。前々作は彼ら史上最もハードな一作だったし、前作は完璧なギター・ポップ作だった。この規則性から予測できるように、スティーヴ・アルビニをプロデューサーに迎えた2年ぶりの本作は、再び思いっきりハードに振り切ったパンク・アルバムとなった。わずか5日でレコーディングを終えたというのも納得のデモ・レコーディング的音響の中で、ディストーション・ギターが重くもたつき、双子のボーカルは思い思いの方向に向けて好き勝手にシャウトを重ねていく。

クリブスにとってポップとパンクは対立する価値観ではなく、どんなに荒れ倒したアンサンブルも最終的には必ず歌メロとコーラスに吸い寄せられ、3兄弟が束になっていくのがこれまでの彼らのマナーだった。翻って本作では、3人がむしろ阿吽の呼吸を敢えて無視し、分散&独立した互いの状態を尊重し合っているように聞こえる。そしてペイヴメントのようにぎくしゃくとしたそのローファイ構造の中を、飄々と風が吹き抜けている。そんな、未だかつて見たことがない彼らの新風景が広がっている。( 粉川しの)

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