モノで聴くジングル・ジャングル

ザ・バーズ『霧の5次元』
2012年05月30日発売
ALBUM
ザ・バーズ 霧の5次元
オリジナル・モノ音源とオリジナル・ステレオ音源の2枚組紙ジャケCD(しかもボーナス・トラック付き)という形で再発されるバーズの初期5枚のアルバム。要するにモノとステレオを簡単に聴き比べできるということなんだけど、実際にバーズの初期作品はモノラルでレコーディングされていたので、“擬似的”なステレオサウンドより、バンドの目論みがよりリアルに体感できるのは嬉しいことである。なお、同時に日本企画版として、『オリジナル・シングルズ As & Bs』も発売。そもそもアルバム収録版とは異なった編集が施されたシングル曲とそれらのB面曲を含んだ全52曲を、通常のベスト盤とはちがい、モノ録音で堪能できるという気合ものである。

で、なぜ、3枚目の『霧の5次元』を取り上げているかというと、単純に好きだから。ジーン・クラークが抜けたため、カヴァーが増え、一貫性のない作品と批評されることも多いが、ポップスからサイケに傾向した本作を前後2作と聴き比べると、バンドのクリエイティヴな成長が手に取るようにうかがえる。シタールを模倣したロジャー・マッギンのギターをモノでご堪能あれ。(内田亮)
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