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    トム・ヴァーレインが亡くなった

    トム・ヴァーレインが亡くなった
    トム・ヴァーレインが73歳で亡くなった。20日前に亡くなったジェフ・ベックが78歳だったから5歳違いということになるが、意外に感じるのは僕だけではないだろう。トム・ヴァーレイン、そして彼が居たバンド、テレヴィジョンは、それこそヤードバーズやジェフ・ベック・グループとはまるまる一世代違うというイメージがある。
    ギターにどれだけ感情を込めて、どれだけロック的な熱さを込めるかを競い合ったブルースロックの3大ギタリスト世代とはむしろ逆に、あからさまな感情やロック的な熱さをいっさい込め「ない」ロックがトムのスタイルだった。それによって新たな情感豊かでカラフルなギターロックが成立させたのがトム・ヴァーレイン、テレヴィジョンだった。
    当時、彼らはパンクバンドとしてくくられたが、僕の周りで彼らをパンクとして聴いている人は居なかった。彼らとトーキング・ヘッズは、新しい世代のアートロックだった。旧来のロック的なエモーションや熱さに対して批評的であるだけでなく、そこから今につながるオルタナティブなロックのグルーヴと音色を鳴らしていた。
    テレヴィジョンのアルバム『マーキー・ムーン』『アドヴェンチャー』、トム・ヴァーレインのソロアルバム『冷めた炎』『夢時間』はこれからも何度でも聴く価値がある。
    ご冥福をお祈りします。(山崎洋一郎)
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