初期の『メタル・ボックス』『フラワーズ・オブ・ロマンス』におけるアヴァンギャルドなサウンドは"パンクという言葉にまつわる一般的イメージ"に対する裏切りそのものだった。しかし、それが今度はポスト・パンク・ムーヴメントの象徴に祭りあげられたころ、彼らは"ディスコもしくはロックでポップな"音楽に向かう。中途半端な評価を求めるより自分に正直であること。それでも彼らは「一般的イメージ有限会社」を名乗る。このねじれにはポップ・ミュージックの本質が潜んでいる…とかなんとか言いつつ、あまりに勝手なことやってるので、どうも売れなくなってきて(つまり作品を出さなくなって)から20年、ついに新作がドロップされた。
見事だ! 文字どおり自分たちにまつわるイメージを全部ひきうけ、じわーっと強烈にパワフルな、甘口でも辛口でもない、理想的な「今のロック」たりえている。(伊藤英嗣)