話題の映画『ヘルタースケルター』のエンディングテーマとして書き下ろされた“The klock”。破壊、虚偽、過剰。その裏にある、愛、夢、素。そういった全てをひっくるめた現実という奴が、くっきりと描かれたポップチューンになっている。これまでも、彼は激しいシャウトと甘いメロディを、様々な楽曲で同居させてきたが、一曲の中でここまで飛距離がある感覚を繋いだ物語を描いたことは初めてではないだろうか。刺と真綿が交互に訪れるように極端な手触りは、刺激的であり、生々しくもある。何かの為に書き下ろす、という作業が、上田剛士の新たな扉を開いたのかもしれない。まだ映画は見ていないが、漫画を見た時の痛みが思い出された。それでいて、2012年が直面している問題にも、重ね合わせられる楽曲でもあると思う。カップリングは、2曲目には新曲、3曲目には5月10日に赤坂ブリッツで行われたライヴの本編の模様が、まるごと1トラックに収録されるそうだ。相変わらず、やることが一筋縄ではいかない姿勢に、つくづく追い続け甲斐のあるアーティストだと思わずにはいられない。(高橋美穂)