ファーストが「作らせた」傑作

ザ・ヴァクシーンズ『ザ・ヴァクシーンズ・カム・オブ・エイジ』
ザ・ヴァクシーンズ ザ・ヴァクシーンズ・カム・オブ・エイジ
誤解を恐れずに言うならば、ヴァクシーンズのデビュー・アルバム『ワット・ディジュー・エクスペクト・フロム・ザ・ヴァクシーンズ?』とこの彼らの新作には、オアシスの『デフィニトリー・メイビー』と『モーニング・グローリー』の関係に似た運命と必然を感じずにはいられない。わずか1年のインターバルで立て続けにリリースされた連作感も、デビュー・アルバムをバンドの揺るぎなき基礎土台とした上での応用・実践の方向性も凄く似ている。デビュー・アルバムの反動的なセカンドを作るバンドが多いUKシーンにおいて、こういうオアシス・タイプの初期2作品を作りえるバンドは本当に稀だし、それほどまでにヴァクシーンズのデビュー・アルバムは完璧だったのだと、1年を経た今改めて噛みしめたくなるセカンドなのだ。 簡潔さとそっけなさの狭間で作られた『ワット・ディジュー〜』はライヴの現場で二倍にも三倍にも饒舌になる楽曲集だったが、本作にはそんな彼らのライヴの熱量が予め搭載されている。逆に『ワット・ディジュー〜』の簡潔さ・そっけなさによって零れ落ちてしまっていたきめ細かいニュアンスも新たに付帯され、アシッド・フォーク系のナンバーの洗練が素晴らしいことになっている。本作において大胆なタッチの冒険も細かい修正も可能にしているのは、このバンドの基礎=デビュー・アルバムがしっかりしているからこそだ。ツアー三昧でじっくり話し合う時間もなかったはずなのに、たった1年でこんな躍進作を作れてしまう理屈では推し量れないマジカルな季節、それもまたあの94〜95年当時のオアシスを彷彿させるものなのだ。(粉川しの)
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