世紀のずっこけタイトルを冠するデフトーンズ通算7枚目の新作。08年にベースのチ・チェンが交通事故にあい昏睡状態に陥ってしまったのも大きかっただろう(最近、意識が回復し、足を動かせるようになったという朗報が!)、一時期はシーンから姿を消し、外から見ているといつ解散してもおかしくないようだったが、前作『ダイヤモンド・アイズ』でモチベーションと自信を取り戻したバンドは、これぞデフトーンズという力作を仕上げたのだ。というか、第一印象は3枚目『ホワイト・ポニー』。アグレッシヴなサウンドの中に、チノ・モレノに前から潜んでいたセンチメンタリズムを見事にブレンドさせたあの傑作で、当時のニューメタル・ブームから首尾よく距離を置くことに成功したわけだが、この作品もまさにデフトーンズが得意とする“湿っぽいヘヴィ”が全面的に出ている。ただ、どうしてもあの作品で感じたあざとさは、バンドが成熟した本作ではまるでない。これまでになくアンビエントなシンセ・サウンドを取り入れていたりするが、すべてがオーガニックなのである。これからも長く付き合っていけることを確信できる作品だ。(内田亮)