野獣性と美旋律で深みに誘う

デフトーンズ『オームズ』
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ALBUM
デフトーンズ オームズ

唐突だが、デフトーンズの1998年9月に行われた初来日公演(渋谷O-EAST)は生涯忘れられないライブのひとつだ。チノ・モレノ(Vo)の怒髪天を衝く豪快なシャウト、ワン・リフで押しまくる図太い攻撃力に失神状態に陥るほど興奮した。2ndアルバム『アラウンド・ザ・ファー』発表後のタイミングである。22年前の話を引き合いに出したのは、この9thアルバムは前述作を含む初期4作を手がけたテリー・デイトを再びプロデューサーに招いているからだ。もちちん彼らは作品毎に進化を遂げ、類似バンドが浮かばないヘヴィ・ミュージックを編み上げてきた筆頭株。野獣の牙を磨き続けながら、メロディアス/エモーショナル/エクスペリメンタルな要素を拡大させ、独自の文体を打ち立ててきた。

前作『ゴア』から4年5ヶ月ぶりになる本作は“ウランティア”、“レディアント・シティー”を筆頭にライブ映え必至のリフものナンバーが耳にとまり、チノの激高シャウトも随所で聴かれたりと、2ndアルバムに通底するアグレッシブな要素が浮上した印象を受ける。フィジカルに訴える攻撃性と躍動感を高めた上で、空間を彩るシンセやメランコリックな美旋律も効果的に取り入れたバランス感覚が素晴らしい。現時点における集大成作と位置付けるのは早計かもしれないが、そう言いたくなるほど盤石の完成度を誇っている。“ザ・スペル・オブ・マセマティクス”は重厚なヘヴィネスで突き進みつつ、淡く広がる歌メロが実に心地よい。中盤過ぎにハンドクラップが鳴り響き、インスト・パートで終わる大胆な流れもポイント。また、ラストを飾る表題曲はシンプルなリフを用いた開放的な曲調で中毒性の高いメロディに惹き付けられた。ヘヴィだが、ディープな旨味も感じられる傑作だ。 (荒金良介)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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デフトーンズ オームズ - 『rockin'on』2020年11月号『rockin'on』2020年11月号
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