有名なトラディショナル曲などをクレイジー・ホースとして完全に書き直してしまうという趣旨だった『アメリカーナ』に続くニールとクレイジー・ホースの新作。こちらはすべてオリジナルで、このバンドのガレージ・エッジと独特なグルーヴを全開に打ち出す作品だが、ある意味で前作もそれは同じだったとも言える。つまり、前作のタイトルの「アメリカーナ」とは暗にこのクレイジー・ホースのサウンドのことを指しているのであって、このサウンドはオリジナル作品であればさらに縦横無尽に展開するというのが本作のテーマなのだ。そして、この2作は昨今の音楽へのアプローチ批判そのものだ。このほとんどディストーションのようなサウンドの醍醐味をMP3とイヤホンで本当に堪能できるのか。そもそもこんなサウンドのダイナミズムに溢れる30分にも及ぶ曲にリスナーは乗っかっていられるのかと挑発するものなのだ。そして、それに応える以上の「ハイ」を特に大作の楽曲の数々は提供してくれる。これほど音に対して純粋なアプローチを試みるニールとバンドの度量に脱帽しつつ、陶酔感でいっぱいになってしまう。素晴らしい。(高見展)