最近のKREVAは、「ちゃんといいラップをしつつ、ヒットチャートで結果を出したい」という主旨の発言を度々しているが、“王者の休日”を聴いて「ついに来た!」と思った。滅茶苦茶かっこいいラップを聴かせながらも、「スウィートなラブソング」という仕上がりを身に纏っている様に仰天! 「素敵なラブソングだなあ」と、ポップミュージックとしてストレートに受け止める人も多いだろうが、無意識の内に「この雰囲気は、なんか他と違うな」と悟るのだろう。そもそも歌っている内容も、これは所謂「ラブソング」とは様子が異なる。《君のためにだけ生きられるよ》というキラーフレーズに軟着陸しつつ、この曲の幹にあるのはザックリ言うならば「俺ってすごい!」ということ。こういうテーマをセンスよく料理し、エンターテインメントに仕立て上げるのがラッパーの腕の見せ処であり、ヒップホップのゲーム。その土俵のど真ん中に立ちながら、極上のラブソングとして響かせているのが“王者の休日”だ。トラックはBACHLOGIC。超一級のサウンドが、KREVAのラップと融け合う至福! 本当に堪らない。(田中大)