4作目のアルバムにセルフ・タイトルを冠したOKAMOTO'S。華やかにスウィングしていて、ポップでセンチメンタルなラブソングもたっぷりと入って、とはいえ甘い気分なんざしゃらくせえとばかりに、世に転がるうんざりするものを蹴り飛ばしたり、しみったれもする。人生、楽勝だとナメてかかる気概を持ちつつ、腹の底ではおっかなびっくりで毎日綱渡りをしている緊張感も湛えている。パッションも汗やら涙やらの湿度も若干高めの悲喜こもごもをガソリンに、ロックンロールへ最敬礼して音遊びをする、そんなOKAMOTO'Sらしいアルバムだ。
　
スカパラホーンズと鍵盤・沖祐市を迎え高揚感たっぷりに送る“Give&Take”や、甲本ヒロトのハープとニートビーツMR.PANが手掛けたずぶずぶと生々しいヴィンテージ・サウンドに痺れる“共犯者”など。ゲストも交えたさまざまな曲が揃い、さまざまな曲で歌い叫ぶ爽快さ。小さいことでクヨクヨとオチたり迷ったりするまともな僕らが、わがままで、底抜けに楽しくて、曇りのない明るい明日を迎えるための試行錯誤が詰まっている。それが、心根をぐっと掴む。（吉羽さおり）