キャリアを固める磐石の3作目

フォールズ『ホーリー・ファイア』
2013年02月20日発売
ALBUM
フォールズ ホーリー・ファイア
約3年ぶりとなる3rd。先行公開された“インヘラー”の、シンセが飾る幻想的なメロディとヤニスの美しくエモーショナルなヴォーカル、そしてUKラウド・ロックもかくやたるバーストを垣間見せるアンセミックなサウンドは、とても示唆的だった。大枠としては前作『トータル・ライフ~』の路線を継ぐ、ファンク色も濃厚なダンス・ロックを展開。リズム隊と絡むニューウェーヴ調のエレクトロニクスが全体のトーン/カラーを構成し、コーラス・ハーモニーも存在感を際立たせている。あるいはM6やM8といったミディアム・ナンバーに象徴的なように、歌謡性を増した。一方で、個人的に本作の白眉としたいのがM9。〝プロヴィデンス〟というタイトルも示唆的な―USのファストなノイズ・ロックも連想させる、本作屈指のタイトでハードコアなアンサンブルを堪能でき、初期~1 st『アンチドーツ』の頃のマス・ロックな面影も甦らせるナンバーだ。そしてラストに置かれたM11のアンビエントなトラックは、彼らの新たな側面を伝えてくれて興味深い。キャリアの試金石となる3作目で、完成度とバランス感覚を備えた最高の成果を届けてくれた。(天井潤之介)
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