今週の一枚 マーチャンダイズ

今週の一枚 マーチャンダイズ

マーチャンダイズ『アフター・ジ・エンド』


エコー・アンド・ザ・バニーメンでモリッシーが歌ってるような、というのが前作『トータル・ナイト』の第一印象。
でも曲のダークなポップ感と、品のある重厚なアレンジ、ノイズの美しさを活かしたエッジーな演奏に引っかかってすっかりフェイバリットになってしまっていた。
インターポールの00年代ポスト・パンク・リバイバル感やパーマ・ヴァイオレッツの10年代感をもちゃんと身につけた上での80年代ルーツのポスト・パンク/インディー・ロックは、
なかなかの手応えだった。
フロリダ出身だって?その辺が逆に強みなのかも。とか思いつつ。


で、4作目となる新作は
「これからはポップバンドに転身する」
というメンバーの宣言が事前に出回っていたのでどんなことになるのかと思っていたんだけど、そんなに大きくは変わってなかった。
ストリングスが入っていたり、リズムがダンサブルに跳ねている曲があったり、
サウンドが少しクリーンな印象になってはいるけれども、それは表面的な部分だけで、
肝心の曲や歌や演奏はこれまでのマーチャンダイズの発展形。
ホラーズがポップ化してスケール感を増した時の変化が100だとすると、60ぐらいの変身。
でもクオリティーは大幅にアップ。
というか、このアルバム素晴らしい。

ポスト・パンクは「ダンスロックとしてのリズムの切れ味」と「艷やかで冷たくて重厚感がある美音」という2つのDNAに分かれて発展し時代を超えてきた。
前者はフランツ・フェルディナンドやブロック・パーティー、フォールズ、ラプチャー、ヤー・ヤー・ヤーズにしっかりと継承されている。
が、後者の方は「ネオ・ネオ・サイケ」「シューゲイズ」「ドリーム・ポップ」へとなんとなく枝分かれしていって、
エコバニ、キュアー。スミスのサウンドにあったポスト・パンク本来の「非ディストーション・ギターの暴力性」をがっしりと受け止めて今の時代に展開してくれるバンドは少ない。
インターポール、ホラーズに次いで、このバンドもしっかりと名を知られてポジションを築いてほしいな。
その力を持つ作品だ。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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