今週の一枚 プロフェッツ・オブ・レイジ『ザ・パーティーズ・オーヴァー EP』

今週の一枚 プロフェッツ・オブ・レイジ『ザ・パーティーズ・オーヴァー EP』

プロフェッツ・オブ・レイジ
『ザ・パーティーズ・オーヴァー EP』
10月5日(水)発売

12月に投票を迎えるアメリカの大統領選に合わせてレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ、ティム・コマーフィールド、ブラッド・ウィルク、それとパブリック・エネミーのチャックD、サイプレス・ヒルのBリアル、そしてPEの現DJのDJロードの6人で結成されたプロフェッツ・オブ・レイジ。もともとトムは一大旋風を巻き起こしたバーニー・サンダースに対しても懐疑的だっただけに、これは誰を支援しようというキャンペーン・プロジェクトではなく、ひとりひとりが国家との向き合い方をこれを機にもう一度考えろと問いかけるプロジェクトで、レイジ、PE、サイプレス・ヒルというユニットのメンバーがここに結集する必然もまたそこにある。その賜物としてリリースされたのがこのEPで、新曲2曲、カバー3曲の構成になっている。

1曲目"Prophets of Rage"はユニット名にして、パブリック・エネミーの衝撃の名作『パブリック・エネミーⅡ』の収録曲名でもある新曲で、誰もが待ち望んでいたレイジ的リフが炸裂するナンバー。ある意味ではあまりにも思い描いていたようなレイジ・サウンドでちょっと予定調和的ともいえるのかもしれないが、このプロジェクトについてはより多く聴かれることがなによりも重要なのでこれで大正解なのだ。それにこの音をまた新しいリリースとして聴けることは単純に物理的(肉体的)にも嬉しい。PEの"Prophets of Rage"では「怒りの預言者」はマルコムXらの先人のことを指していたが、今回の"Prophets of Rage"ではそれを継承する自分たちのメッセージをよく聴けという内容になっていて、チャックDのヴァースはほぼPEの"Prophets of Rage"のヴァースと同じ内容で、Bリアルが新しく現状を訴える内容となっていて、このプロジェクトの狼煙としては素晴らしすぎるものになっているし、新曲とも旧曲ともつかない内容と構成となっていることがとても重要なのだ。つまり、これはこれまでも繰り返しいわれたことだが、これからも繰り返し聴かれなければならないメッセージなのだという意味合いをよく強調しているのだ。

2曲目"Party’s Over"は、現状の政治状況を憂い、もういい加減にしろと突きつける意味での「Party’s Over」、それと政党政治にはもはや未来などないという意味での「Party’s Over」をかけた内容になっていて、まさに今回のプロフェッツ・オブ・レイジの最も重要なメッセージとなっている曲。ジミ・ヘンドリックス風のイントロから粘っこいリフへとたたみかけるナンバーで、レイジ・トリオのサウンドがまたしてもたまらない。これにBリアルがいい加減に目を覚まして自分から集って声を上げろと警鐘を鳴らし、チャックDは誰もがいいように国家の仕組みに落し込まれていくだけだということをよく見極めろと諭す内容になっていて、レイジ、Bリアル、チャックDの見事な三位一体トラック。10月中旬でプロフェッツ・オブ・レイジとしてのツアーも終わってしまい、その後は各自でよく考えるようにという置き土産にこのEPはなるのだろうが、それにしても目的もメッセージもあまりにも明確なこのプロジェクトはとても潔く聴き応えがあるし、タイムリーなもので、メンバー全員の瞬発力をよく伝えるものになったと思う。

ほかの3トラックはレイジの"Killing in the Name"、PEの"Shut Em Down"、ビースティ・ボーイズの"No Sleep Till Brooklyn"のカバーを収録したものになっていて、特に"No Sleep Till Brooklyn"はトランプが共和党候補に正式に指名された共和党大会が行われたクリーヴランドにかけて「Brooklyn」と「Cleveland」に置き替えたものになっている。いずれもライブ音源で、今回のツアーがどういうものだったのかをよく伝えてくれる音源になっている。これはあくまでも一回ぽっきりのプロジェクトであるはずだが、ライブ映像作品がまとめられればやはり是非観たいところだ。(高見展)
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