今週の一枚 アダム・ランバート『オリジナル・ハイ』

今週の一枚 アダム・ランバート『オリジナル・ハイ』

アダム・ランバート
『オリジナル・ハイ』
2015年7月1日発売

『オリジナル・ハイ』とは、まさに言い得て妙なタイトルだ。
『アメリカン・アイドル』出身のアダム・ランバートも今年で33歳、メーカー移籍第一弾にして3作目となるこのアルバムは、まさに彼が自らのオリジナルな音楽性を確立するための渾身の意欲作なのだから。

10代の頃から俳優として多くの舞台やミュージカルを経験し、クルーズ客船のショーをこなすなどの仕事も経験したアダムは、いわば「何にでもなれる」優れた俳優としての特質を持つシンガーである。
だからこそドラマ『glee/グリー』の出演や、クイーンのヴォーカリストという、普通の誰もが尻込みするチャレンジをも成功させたわけで、そうしたキャラクターこそが彼のオリジナリティだということも充分に出来るのだ。

けれどもアダムは、これから先ずっとミュージシャンとして歌い続けていくために、アーティストとしての自我を確立する必要があったに違いない。
しっとりした得意の美声バラードに心が溶かされる――と思いきやいきなりゴリゴリのダンスチューン(腰をグイグイ揺らしながら踊る姿が目に浮かぶ!)で強引にクライマックスに誘導する、リスナーの心も体も大満足させようとする1曲目“ゴースト・タウン”からして、その意気込みは伝わってくる。
続くタイトル曲“オリジナル・ハイ”でも、彼らしい90年代風ダンス・チューンでありながら、マックス・マーティンとシェルバック(ケイティー・ペリーやマルーン5を手掛けた)をプロデューサーに迎えた完成度の高いサウンド・デザインで、アダム独自の大人のポップを鳴らしている。思わず一緒に歌ってしまう♪オリジナル・ハイ~というリフレインもいい。

そこはかとなくクィーンのメロディを思わせる3曲目“アナザー・ロンリー・ナイト”、
今作をレコーディングしたスウェーデン出身の歌姫トーヴ・ローとデュエットする“ルーマーズ”、
まったくクィーンらしくない曲の間奏で、ザ・ブライアン・メイ節炸裂のギターがエモーショナルに響きわたるく“ルーシー”も聴きどころ。

アイドルからアーティストへの転身を遂げた新生アダム・ランバート。
シーンがどう受け止めるかも楽しみだが、まずはあなた自身の耳で、このドヤ顔の自信作を確かめてみてほしい。(井上貴子)
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