今週の一枚 レッド・ツェッペリン『コンプリートBBCライヴ』 

今週の一枚 レッド・ツェッペリン『コンプリートBBCライヴ』 

レッド・ツェッペリン
『コンプリートBBCライヴ』
9月16日(金)発売

1997年にリリースされたレッド・ツェッペリンのBBCラジオでのライヴ音源集『BBCライヴ』のコンプリート盤。なにが「コンプリート」なのかというと、BBCで放送されたライヴ音源には1969年3月から71年4月までのものがあるのだが、これまで69年4月に行われた初の単独出演時の音源だけがなくなってしまっていて、97年盤の『BBCライヴ』にはこの音源が収録されていなかったのを今回はディスク3として収録したということなのだ。ただ、このBBC出演時のBBCの音源は失われてしまっているので、ブートレグ音源などをマスタリングしたものと思われる。この時の出演時の楽曲が“I Can’t Quit You Baby(君から離れられない)”、“You Shook Me”、それとこれまでまったく未発表となってきた楽曲“Sunshine Woman”。ライヴ定番曲でもあった“I Can’t Quit You Baby(君から離れられない)”、“You Shook Me”はツェッペリン独自の力強いブルース・パフォーマンスになっているのはさることながら、"Sunshine Woman"は失われたオリジナル曲なのでこれを聴くにあたってどうしても浮き足立ってしまう。曲そのものの持つ輝きという意味ではどうしても現存するほかのオリジナル曲には劣るように思えるが、このジャム・セッション風のグルーヴは聴いていて非常に気持ちがいいし、ようやく知ることができてよかったと思えるナンバーだ。14年から続いたツェッペリンのオリジナル・アルバムのリマスタリング・リリースでは「コンパニオン・ディスク」として未発表ライブや音源が特典として収録されてきたが、ジミー・ペイジはできるだけ多くの音源をファンに届けたいとその意図を語ってきていて、この“Sunshine Woman”もまさにそういうものなのだ。

ディスク3のほかの音源は69年と71年のライヴ音源でディスク1と2にこれまで収録されていなかったものが収録されている。特に際立っているのは6トラック目に収録されている“Communication Breakdown”(このディスクでは2度目の登場)で、あまりにも性急なパンク的なアタックのかかったイントロからしてすごい。中盤にもアレンジの変化がほどこされていて、初期にはツェッペリンのトレードマーク・ナンバーとなっていたこの曲が71年の時点で相当に手を入れられているのがわかってとても興味深いし、アンコール曲となっていたこの曲にバンド自身も変化を望んでいたことがうかがわれる。

ディスク1とディスク2は従来と同じ内容だが、ジミー・ペイジによるリマスタリングもほどこされて1997年のリリース時より角の取れたサウンドになっていて、ほかのオリジナル・アルバムとの統一感もより出ているように思う。いずれにしても、ツェッペリンは活動中にはライヴ・アルバムは『狂熱のライヴ』しかリリースしておらず、しかもこの作品はライブの記録というよりは、ドキュメンタリー映像作品へのサウンドトラックとしてかなりいじられたものでもあったため、97年にこの『BBCライヴ』が出た時にはツェッペリンのライブの手触りを初めてダイレクトに味わえることになったのでそこがあまりにも画期的だったのだ(その後、『狂熱のライヴ』は07年に実際のライブを再現する内容へと再編集されている)。

2003年にリリースされた72年のアメリカ・ツアーからのライブ音源『伝説のライヴ-How the West Was Won』と並んでこの『BBCライヴ』はツェッペリンのライブを知るうえであまりにも重要な作品となったが、特に特徴的なのはツェッペリンが登場した頃のかなり凝縮された爆発力が69年の音源によるディスク1で徹底的に網羅され、71年のライブを収録したディスク2ではすでに独自の音楽性を開花させたバンドの姿が手に取るようにわかるところだ。おそらくツェッペリンとリアルタイムで出会ったリスナーも、ディスク1からディスク2へという流れでこのバンドの魅力の虜となったはずで、あまりにも的確な編集と構成になっている。(高見展)
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