今週の一枚 グレタ・ヴァン・フリート『アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー』

今週の一枚 グレタ・ヴァン・フリート『アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー』

グレタ・ヴァン・フリート
『アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー』
10月19日(金)発売


このグレタ・ヴァン・フリートを「彼らは『ツェッペリン Ⅰ』だ」と称えたのは、他でもないロバート・プラントだった。確かに2017年のEP『フロム・ザ・ファイアーズ』の頃の彼らのブルース直結のハード・ロックは、『Ⅰ』と呼ぶに相応しいピュアな興奮と閃きの塊だったわけだが、あれから約1年を経てついにリリースされるこのフル・デビュー・アルバムに至って、GVFは『Ⅱ』へ、さらには『Ⅲ』の萌芽すら感じさせる高速進化を果たしてしまった。

〝ホエン・ザ・カーテン・フォールズ〞を筆頭に、前半は『フロム〜』から引き続きハード・ロックが中心。しかし、リフの一筆書きの強烈なインパクトで押し切るギターと、プラント憑依芸のごとき怪鳥ボーカルによって、問答無用でツェッペリンを刻印されていた前作と比較すると、バンド・アンサンブルのバランスが一気に向上している。彼らのドラム&ベースはボンゾ、JPJ(ジョン・ポール・ジョーンズ)級にオリジナリティ溢れるプレイというわけではないのだが、ギターとボーカルの密度に対して埋没していた前作に比べ、今回はリズム隊がその密度にメリハリと解放感を与えていることがはっきり見て取れるのだ。4人の出音が分離と収束を繰り返すダイナミックな本作のサウンド・デザインは、〝ラヴァー・リーヴァー〜〞で頂点を迎えている。

後半はヌケのいいアコギを中心に据えたフォーク、カントリーのセクションで、それはもはやツェッペリン云々ではなく、アメリカの片田舎で古典に囲まれて育った彼らの純粋培養の産物。ペダル・スティールとコーラスがユーフォリックに膨らんでいくエンディング・トラックは、まさに彼らが本物である証だ。サマソニのキャンセルを挽回して余りあるソロ初来日を熱望! (粉川しの)

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