今週の一枚 インターポール『マローダー』

今週の一枚 インターポール『マローダー』

インターポール
『マローダー』
8月24日(金)発売


バンドという生き物が絶頂期を何度も迎えることはとても難しい。ビッグ・ネームや伝説的なバンドのヒストリーを見ているとそんなことが当たり前に思えてきたりもするわけだが、実際には非常に稀なことで、だからこそそれを実現した人たちは特別なバンドとしての地位を獲得しているのだ。インターポールのこの4年ぶり、通算6枚目の『マローダー』は彼らがその領域に手をかけているのを予感させてくれる。

衝撃的であると同時に無限の可能性を期待させたデビュー作『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』(02年)の輝きは今も失われてはおらず、それだけにもっともっと突き抜けてくれたはず、との思いも正直あった。セルフタイトルを捧げた『インターポール』(10年)や前作『エル・ピントール』(14年)も好作だが、潜在的なポテンシャルに相応しいものや新領域を実現していたかというともどかしかった。その間メンバーの脱退、元スリントのデイヴィッド・パホがサポートで入ったり活動休止があったりと、落ち着かない状態も続いた。

それらをすべてのみ込んだポール・バンクス、ダニエル・ケスラー、サム・フォガリーノの3人はグループを立て直し、ファーストの発売15周年ツアーを行い、さらにニューヨークにあるヤー・ヤー・ヤーズのリハーサル・スペースで新作の曲作り、昨年12月からスタジオへとなるが、そこで約10年ぶりにプロデューサーの起用を決意する。その役を担ったのはマーキュリー・レヴを始めフレーミング・リップスMGMTなどを手がけたデイヴ・フリッドマンで、彼の山小屋を改造したタルボックス・スタジオに出向く。フリッドマンはプロ・ツールスを使わず、テープでのレコーディングを提案し、それがポスト・パンク期のテイストを根本に持つ彼らの音にいかに正解だったかは本作の骨太なサウンドが雄弁に物語っているし、スタジオや環境の自然なグルーヴが呼び水になってバンドの総合力が引き出された。


凝縮された感性がバンドの中で膨らみ、閉鎖性に終始するのではなく、曲と演奏がスムースに絡み、互いに反響しあって拡散していく。アナログなスウィング感に包まれるオープナーの“イフ・ユー・リアリー・ラブ・ナッシング”、先行配信された“ザ・ローヴァー”の挑発的なところや、ダウナーな“サーベイランス”での不思議なサイケ感、ストレートに迫る“ナンバー・テン”など、どれも曲そのものがじつに魅力的だ。以前、ワンパターンを言われたりした時期もあったが、それらをすべて踏まえた上で“略奪者”をタイトルに掲げた新作には彼らの決意が満ちている。 (大鷹俊一)
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