待望の7th『ジ・アザー・サイド・オブ・メイク・ビリーブ』発表を間近に控えたインターポールのポール・バンクスとの取材で、彼が「今回の課題はエゴを減らすことだった」と語っていたのが印象的だった。
サウンドとグループアイデンティティの双方で独特な美学とアート志向を貫き、超然とした“一匹狼”オーラを放ってきた彼らは誇り高い連中でもある。いい意味でのエゴ/青い突っ張りがなければそのレベルの世界観を維持できてこれなかったはずだ。
しかし誰もが孤立を強いられ混沌にさいなまれた新型コロナ下での曲作りとアルバム制作は、愛する者/仲間との恊働/世界の対象化を彼らに希求させたんじゃないかと思う――聴き手の知性(マインド)に挑戦するというよりも、心(ハート)にそっと寄り添ってくれる、光度と透明度とエモーショナルなあたたかみを増した新たなレベルのサウンドスケープが達成された。
モダンなインディロック古典の1枚となったファーストから20年、人間的な成長と音楽的な深みを見事に統合した新作についてのインタビューは『ロッキング・オン』8月号にて。(坂本麻里子)