インターポール、新作『ジ・アザー・サイド・オブ・メイク・ビリーブ』にて帰還! 崇高なロマンチシズムに彩られた鈍色の輝きが、今再び光を放つ

インターポール、新作『ジ・アザー・サイド・オブ・メイク・ビリーブ』にて帰還!  崇高なロマンチシズムに彩られた鈍色の輝きが、今再び光を放つ - rockin'on 2022年7月号 中面rockin'on 2022年7月号 中面

偶然とはいえ、ポストパンクを再検証する本号巻頭特集とシンクロする形で、00年代のポストパンクリバイバルに大貢献したニューヨーク派の雄のひとつ=インターポール新作についてリポートできるのは嬉しい。

彼らのファースト『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』を契機に、どれだけの人間がジョイ・ディヴィジョン~初期ニュー・オーダーザ・キュアー、エコー&ザ・バニーメンらの陰影の美学を発見/再発見したことか――ザ・ラプチャーヤー・ヤー・ヤーズ、TV オン・ザ・レディオといった優れたアクトも近い時期にそれぞれゴシックやネオサイケを活性化させたとはいえ、ポストパンク復活の狼煙を大胆にブチ上げ、ダークスーツ姿で摩天楼のネオンと闇を疾走したインターポールは間違いなくそんな「夜会」勢のシンボルだった。

そのファーストからはや20年。通算7作目に当たる新作『ジ・アザー・サイド・オブ・メイク・ビリーブ』は、彼らがもはやポストパンクの「エピゴーネン(追随者)」のレッテルを必要としない、独自の世界観を確立したことを堂々と告げている。

プロデュースに初顔合わせとなるフラッドと、盟友アラン・モルダー(NINスマッシング・パンプキンズザ・キラーズフォールズ他)を迎えた音世界は、全体的にテンポを落とし、1曲ごとに「耳で聴く映画」とも言うべき、きめ細かなストーリーを展開する。トレードマークである鈴が震えるような高音ギターの代わりにピアノが涼しく叩かれ、ドラムが主役のごとく暴れるインダストリアル調な場面もあれば、ボーカルはコーラスや女性の声へと雲のように分離し、やがてアンセミックに登り詰める。

自分たちの世界/アートだけにストイックに完結している印象の強かったインターポールだが、このアルバムに呼び込まれた新たな血は見事なシンフォニーを生んでいる。バンドとしてのリーチを広げると共に内面に深く達したこのアルバムの様々な背景について、ポール・バンクス(Vo /G/B)に話を聞くことができた。そちらは次号掲載までお待ちいただくが、まずは抱擁力を増した彼らの現在地点が実感できる先行シングル“トニー”を聴いてみて欲しい。 (坂本麻里子)



インターポールの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

インターポール、新作『ジ・アザー・サイド・オブ・メイク・ビリーブ』にて帰還!  崇高なロマンチシズムに彩られた鈍色の輝きが、今再び光を放つ

rockin'on 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする