今週の一枚 The Longshot『Love Is For Losers』

今週の一枚  The Longshot『Love Is For Losers』

The Longshot
『Love Is For Losers』
4月20日発売


昨年11月にベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ:ゴッズ・フェイバリット・バンド』をリリースしたグリーン・デイ。そのフロントマンであるビリー・ジョー・アームストロングの新プロジェクトThe Longshotが、4月20日にデビュー・アルバム『Love Is For Losers』をリリースした。

春の訪れと共に、「#thelongshot」というハッシュタグを付けた映像を、自らのInstagramに投稿しはじめたビリー・ジョー。そこから、あれよあれよという間に、The LongshotのInstagramアカウントも新設し、YouTubeチャンネルも新設して新曲3曲を公開し、初ライブも開催。そして、今作のリリースへ至ったのだ。ものすごいスピード感!

とはいえ今作は、ラフな思い付きでここに至ったとは考えられないクオリティを誇っている。タイトル・トラック“Love Is For Losers”を筆頭に、しっかり「聴かせる」楽曲が揃っているのだ。つまり、このバンドにはビリー・ジョー節がもろに反映されているということ。血肉をそのまま気張らずに鳴らしている、という意味ではラフなのかもしれないが、リスナーにとっては、むき出しのビリー・ジョー節が味わえるということは贅沢この上ない。


では、グリーン・デイと何が違うのか? グリーン・デイはポップ・パンクでありながら、スタジアムが似合う音楽性・世界観を確立しているが、The Longshotは小さなライブハウスが目に浮かぶような「距離の近い」楽曲を鳴らしているように思える。実際にシンガロングやハンドクラップなどで、オーディエンスが参加できそうなフレーズが今作にもたくさんちりばめられているのだ。

もうひとつ、気軽に実験できるという意味でも、ビリー・ジョーにとってThe Longshotは大切な場所なのかもしれない。特に“Body Bag”の柔らかい歌声と切ないメロディ、そして霞がかったような聴き心地は新鮮だった。

また、血肉というところで言うと“The Last Time”の美しいコーラスワークに表れているビートルズ感など、ビリー・ジョーのルーツがクリアに聴こえるところも魅力的だ。今作の最後を飾るオジー・オズボーンのカバー“Goodbye To Romance”も秀逸である。なお、(余談になるが)この楽曲については、個人的にはライナス・オブ・ハリウッドがカバーしたバージョンが、ポップでキュートで最高! と思っていたのだが、骨太で壮大なロック・バラードとして響かせているThe Longshotのバージョンも、なかなか素晴らしい。


さらに、先述した初ライブでは、デヴィッド・ボウイの“Ziggy Stardust”のカバーも演奏したとのこと。これらのカバー・ソングには、バンドの果て無きキャパシティーや、ビリー・ジョーが思い描く方向性が表れているように感じられる。

なお、今作をリリース後もバンドのYouTubeチャンネルやSoundCloudで、続々と今作未収録の新曲を公開している。ハードでヘヴィな楽曲から、ポップでライトな楽曲、さらにはゴキゲンなロックンロールまで、早くも幅を広げているようだ。さらに、5月3日から行われる北米ツアーによって、ますます進化を遂げていくだろう。こういったバンドは、日本でも「間近で」体験したいものだ。来日を願う!(高橋美穂)
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