グレタ・ヴァン・フリート、NYで3000人x3日間ソールドアウトライブ。あまりの熱狂に圧倒された。

グレタ・ヴァン・フリート、NYで3000人x3日間ソールドアウトライブ。あまりの熱狂に圧倒された。 - pic by Akemi Nakamurapic by Akemi Nakamura

たった1年前に、200人のキャパでライブを観たばかりだったグレタ・ヴァン・フリート
https://rockinon.com/news/detail/174927

なんと今では、NYの3000人キャパの会場Terminal5で3日間完全ソールドアウト。そんなに急激にファンを増やしたロック・バンドは昨今思い付かない。

しかもそこに集まった観客の熱狂が半端なくて、圧倒されてしまった。レッド・ツェッペリンなどを現役で知らない今の20代の若者と、レッド・ツェッペリンなどが好きだった40代以降の観客が、ものすごく良いあんばいで混じり合っている。それでいて全員が同じように熱くて、ものすごい一体感が生まれていた。

昨今、ロック・バンドとは言え、オートチューンに、ダンスビートの導入、またはハイコンセプトなアルバム、パフォーマンスなど、ヒップホップやR&Bがメインストリームである現在のシーンで多くのバンドが試行錯誤している中、グレタ・ヴァン・フリートは、紛い物なしのロックンロール。

どこからどう観ても、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード、それだけ。しかも、サウンドもクラッシック・ロックを直球で継承している。どうやったら現代のシーンに自分のロックが届くのだろう、と考えすぎるロック・バンドたちを尻目に、たったそれだけで堂々の人気を獲得してしまっているのだ。ある意味、ロックを本来あるべき形に戻してくれたバンドとも言える。

  • グレタ・ヴァン・フリート、NYで3000人x3日間ソールドアウトライブ。あまりの熱狂に圧倒された。 - pic by Akemi Nakamura

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しかもライブを観れば、ギターソロに次ぐギターソロ。”Safari Song”では、ドラムソロだってある。

そればかりか、”Lover, Leaver (Taker, Believer)"はもともとは6分の曲だが、なんとライブでは30分で演奏されるのだ。その映像が少し前に公開されている。こちら。


つまり、ロック・シーンが失いかけていた自信のようなものを彼らがライブで身を持って覆してしまっているのだ。今の若者は集中力が短いから曲は3分以内じゃないといけないとか、誰もギターソロは聴いてくれないから、ディスコビートを使おうとか。そんなところが全くない。

ライブを観ていて思うのは、しかも、そういう全てが、彼らの才能とクリエイティビティの中から自然に生まれたものだと分かること。それが彼らの最大の強みでもあるような気がする。無理やり演奏されていないし、ヒットを狙って書かれた曲と言う感じもしない。ミュージシャンにインタビューすると、よく曲がオーガニックに生まれたと言うけど、彼らの曲こそ本当に、非常にオーガニックに発生したものだと分かるし、だからこそライブで聴いていると自然と体に入ってくるのだ。

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個人的なハイライトは、実はこの日朝8時からずっと取材で、ライブが開始した9時にはくたくた。アンコールの前に偶然壁の近くにあった椅子を見つけてとうとう座ってしまったのだが、20歳くらいの男の子がやって来て「なんで座ってるの。座っちゃダメだよ。こんな最高のライブもう2度と観られないんだから」と言われたこと(笑)。若いって素晴らしいと思った。それは18歳~22歳のこのバンドにも通じることだと思う。頑張って立った。

ファースト・シングルの”Highway Tune”が、いきなりメインストリーム・ロック・チャートで4週連続の1位を飾った彼ら。


セカンド・シングルの”Safari Song"も続けて1位を獲得。


その後発売されたデビュー作『アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー』は、メインストリーム・ロック・チャートで1位。シングルの”When the Curtain Falls”も1位を獲得している。


ロバート・プラント自身が「彼らは『レッド・ツェッペリンI』だ」と言ったのは有名な話(https://youtu.be/ePIAaQwYMaM)だが、デビュー・アルバム『アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー』が発売されると、批評家達は、あまりにピュアにクラッシック・ロック・サウンドを受け継いでいることを是が非かと論争していた。しかし、NYで3日間ソールドアウトの観客とその本物の熱狂を観ていると、彼らへの本当の愛が、そんなこととは関係のないところでファン層をどんどん広げていたのが分かった。それから、どんなに音楽シーンが変わろうとも、ロックを聴く層というのはこうやって新たに誕生するんだなあということ。

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私が最初に観たライブでも、年配のファンが観終わった後に熱く「彼らはこれから絶対に大スターになると思うから、僕はたった200人のキャパで観たことを将来自慢できる」と万遍の笑みで語っていた。彼らはやはり、ライブに来た観客を興奮させ、絶対にまた来たいと思えるライブ体験をさせてくれるところが強みでもあると思った。この日の観客もみんな幸せそうだった。

少し前のライブ映像と比べても、バンドは実力をすごい勢いで更新している。ファンの人数もすごいスピードで倍増している。まだまだ大きくなっていくだろう。

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