カレンいわくチープな器材でローファイなアプローチが採られたサウンドは、1stの頃のザラついた感触に近い。一方、楽曲のヴァリエーションは多彩で、ヤー・ヤー・ヤーズらしいガレージ・ロックからミニマルなエレクトロニック、トライバルなアレンジやピアノを添えたバラードまで雑然と並ぶ。注目はクール・キースがラップする“ベリード・アライヴ”だが、個人的にはダビーなプロダクションが最高にクールな“アンダー・ジ・アース”を推したい。プロデュースは盟友TVOTRのデイヴ・シーテックと敏腕ニック・ローネイ。さらに1曲DFAのジェームス・マーフィーが手がけるナンバーを収録。前作『イッツ・ブリッツ!』はジャケットの如く、ロウでビザールなヤー・ヤー・ヤーズのオリジナル・スタイルが一握りで凝縮されたようなアルバムだった。それはひとつ前のセカンドで見せたフォーキィでコアなソングライティングの反動でもあった。ならばこの最新作は、その拳を開いて指を自由に戯れさせるようなラフさ、型を破るダイナミクスが醍醐味。背景にはスワンズやトレント・レズナーとの共演をへたカレンの変化もあったのでは。過渡期とも新たなる序章とも取れる、問題作に違いない。(天井潤之介)