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人間の歌声は、エレキギターなどのように音色を変化させることにあまり向いていない。加工することはいくらでもできるが、「曲に必要な素材としての音を作る」という点で効果的な結果を得られたとしても、それは「人間の声による表現=歌」からかけ離れたものになる他ないからだ。つまり、どのような編成だったとしても生身の人間の声を軸にした表現をする以上、音楽性はボーカリストの特性によってかなり決定づけられる。しかし、「何色にでもなれるわけではない」という制約は、「唯一無二」と限りなく近い。それを活かせた時、圧倒的な輝きを手にできる。テレビドラマ『月夜行路 -答えは名作の中に-』の主題歌として書き下ろされた“章”は、まさにそれだ。ストリングで彩られたバンドサウンドに歌が温もりを美しく添えている。一定の責任を様々な方面に対して負う立場の大人でも、心の赴くままに生きていいのでは? そんなメッセージを届ける穏やかなトーンは、リョクシャカを聴きたくなる理由を再確認させてくれる。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年6月号より)
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