元トラック野郎が魅せる情景

ドーン・ギブソン『ミー・モーン』
2013年06月26日発売
ALBUM
ドーン・ギブソン ミー・モーン
ペンシルヴェニアの31歳。昨年のデビュー・アルバムが「ニック・ケイヴとブリアルを同時に体感できる音楽」と評された元トラック運転手の、本作はサブ・ポップからリリースされるセカンド・アルバムになる。その評判通り、スコット・ウォーカーやゲイリー・ニューマンも連想させる艶々しいヴェルヴェット・ヴォイスは、微妙なフェイク感も込みで魅力。なかなかのアクの濃さだが、サウンドは――宅録の多重録音スタイルなのだろうか、確かな素養とバックグラウンドを窺わせる 〝聴かせる〞代物だ。大雑把にいってアンタイ・フォークとニューウェイヴ、モダン・ブルースとエレポップを横断する強かさは、なるほどこなれている。「前作がモノクロ映画なら、新作はワイドスクリーンのIMAX3D映画のよう」と資料にあるが、シンセやサンプラーに、ペダル・スチールやホーン、ストリングスetcの生楽器を織り交ぜた奥行き豊かなレイヤーは、とても閃き勝負の一発芸とは異なる。個人的には、流行りのインディーR&Bにも挑戦した(?)⑤に惹かれた。アメリカの日常風景が幻想的に綴られたという歌詞も気になる。面白い男だ。 (天井潤之介)
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