先頃は宇宙まおとの意外性に満ちたコラボレーションによって、タワーレコード限定シングル『はじめから』もリリースしたPERIDOTSの、約一年半ぶりのニュー・アルバム。ファルセット・ヴォイスが映えるフォーキーな調べのナンバー、豊穣なバンド・サウンドと巧みな言葉遊びを織り交ぜた歌詞から恋の情熱が立ち上ってくるナンバーと、ソング・ライティングの素晴らしさを重心に多彩な曲調／アレンジの楽曲群が詰め込まれている。7曲目“某月某日4時”といった楽曲では、伸びやかな符割の歌が時の流れをグニャリと捩じ曲げてしまうようだ。
音楽は、触れる者から（少なくとも）一定の時間を奪うという点で極めて特異なアート・フォームだ。PERIDOTSは、時間をコントロールする音楽の力に《バラバラの夢から明日は出来てる》“Broken Heart”や《どこまでだって行けるきっと／僕らどこにも辿り着かないのだから／それが手掛かり》“concourse”と独自の視点で人生の時の流れを捉えた想いを乗せ、見えない明日に惑う人々に届けようとする。一面的な応援歌や癒しとは違う、何とも神秘的な体験だ。（小池宏和）