モリッシーの約8年ぶりのライヴ映像作品となる本作は、今年3月にLAのハリウッド・ハイ・スクールで撮影されたもの。会場は千人規模のホールで、全19曲90分のセットも含めて、昨年の10年ぶりの来日ツアーで私達が観たものに限りなく近い内容のショウだと言える。そしてモリッシーのパフォーマンスそれ自体も、昨年のライヴで感じた異様な彼の熱―オーディエンスとの、他者とのコミュニケーションを渇望するモリッシーの現在形を再確認できるものだ。かつて「誰にも愛されずに死ぬ可能性だって十分にある」と言ったモリッシーが、孤独を前提としながらもそれでも共感と認証を求めてファンと手を伸ばし合う、そんな感動的な光景がここにはある。そういう意味でも、あなたが英語ネイティヴでないのならば歌詞とMCの全てに詳細な日本語字幕が付いているこのジャパニーズ・エディションを必ず買うべきだ。特に来日公演でMCがいまいち理解できず、「セクシー・ゾーン」まで出したモズ様の渾身のボケをスルーしてしまったことを後悔している方はぜひ。モリッシーがこれほどまでに私達を求めている姿は滅多にないのだから。(粉川しの)