3人が交互にリード・ヴォーカルをとり、ルーとジョン、もしくはどちらか片方がバッキングをつとめるスタイル。バンド演奏ではないため、非常に静謐で落ち着いた雰囲気だ。ほとんどMCもなく淡々と進行するが、リラックスしたものというより終始ヒリヒリした緊張感が漂っているのは、3人がヴェルヴェットで過ごした短い時間がいかに濃密で激しいものだったかということだ。まだ同窓会気分になるには早すぎたのだろう。
歌われるのはヴェルヴェットの曲のほか、それぞれのソロ曲。まだ若いルーの歌声はしなやかで張りがある。そしてジョンのヴィオラをバックにニコの狂おしいまでの情念が迸り出る歌唱は圧倒的に素晴らしい。
映像版も現存し、一部はユーチューブで閲覧可能だ。生き残っているのはひとりだけ。まさしく歴史的パフォーマンスである。(小野島大)