フィール・グッド・ヒット・ソングズ

テンプルズ『サン・ストラクチャーズ』
2014年02月05日発売
ALBUM
テンプルズ サン・ストラクチャーズ
カラフルなサイケデリアが文字通りに異彩を放っていた『シェルター・ソングe.p.』が素晴らしく、さらに昨年の11月のHostess Club Weekenderの初来日公演もタイトかつグルーヴィーな演奏を披露してくれたミッドランズ出身のテンプルズ、待望のデビュー作だ。自分も早速使ってしまったが、“サイケ”という言葉で形容されることを免れない彼らのサウンドだが、テンプルズの場合は独り善がりなトリップに陶酔することはなく、あくまでポップ・ソングを構成するために、フロイドやビートルズやバーズが築いた極彩色的なエッセンスを取り入れているという感じ。なので、実際に薬中なのかもしれないけど(多分違う)、アシッドな香りはあまりしなく、サウンド自体は至って健全に響くのだ。そういう意味でも、このアルバムを聴いてまず浮かんだのは『サタニック・マジェスティーズ』というか、“シーズ・ア・レインボー”(巻頭特集&来日のため、頭がストーンズでいっぱいで申し訳ない)。『サージェント・ペパーズ?』に対抗という、“不純”な理由で作り上げたなんちゃってサイケ・アルバムの中、キラキラ輝くあのトラックを聴いて、もはやLSDなどの幻覚剤を思い起こす人はほとんどいないだろう。テンプルズのアルバムもまさにそう。サイケ云々なサウンドより際立つのは、豊潤なメロディと躍動感あるリズム、そしてなによりそれらにサイケ・テイストを味付けし、珠玉のポップ・ソングに仕上げているハイセンスなソングライティング・スキル。ホントに曲がいい。意外にも本作はバンド自身がセルフ・プロデュース。実に自覚的なその佇まいも好きだ。(内田亮)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする