ユニゾンの楽曲には、メロディにも歌詞にも、どこか寂しげな感覚が漂う。それがあの光のようなスピード感の中で歌われるとき、その寂しさが希望へと変わっていく、それがユニゾンのダイナミズムだ。ではなぜ寂しいのか。それは彼らが、前に進むことをやめず、常にここではないどこかを目指してきたからにほかならない。この“harmonized finale”もそうだ。いや、タイトルに「フィナーレ」という言葉があることからも分かるとおり、これまで以上に明確に「次」を指向する曲かもしれない。アニメ『TIGER & BUNNY』シリーズの相性とは“オリオンをなぞる”や“リニアブルーを聴きながら”ですでに実証済みだが、そのマリアージュをさらに推し進める名曲誕生である。3人が洗練されたアンサンブルを見せるなか、《harmonized finaleが繋いでく　沢山のメロディが浮かぶ（略）離れていたって大丈夫だよ　歌ってよ》と改めて「音楽」について力強く語りながら、《ありがとう　ありがとう　ここからまた始まってく》と再出発を宣言する歌詞。今年7月で結成10年となる彼らの次のステージは、すぐそこだ。（小川智宏）