一気呵成に描かれるスペクタクル

KNOCK OUT MONKEY『INPUT ∝ OUTPUT』
2014年02月26日発売
ALBUM
KNOCK OUT MONKEY INPUT ∝ OUTPUT
いよいよメジャー初アルバムを発表するKNOCK OUT MONKEY。SF大作映画のスコアのようなオープニングに思わず仰け反るものの、むしろそれに続くロック・ソング10曲が大仰なオープニングさえも飲み込んで激流を生み出すようなアルバムだ。煽りに気圧されるのか、それとも煽りさえ血肉と化す基礎体力をバンドが備えているのか。KNOCK OUT MONKEYの場合はもちろん後者だが、今時珍しいぐらい痛快な「メジャー」感を鳴らすことに成功している。パンクもメタルもレゲエもエレクトロも咀嚼して、ややこしく入り組んだ世界の扉をひとつひとつ抉じ開けてしまうさまが痛快だ。

決意も歓喜も困惑もボロボロの嘆きも歌い込むw-shunの言葉たちは、決して一面的な表情をしていない。雄々しいパンク・サウンドの合間に素っ頓狂なトロピカル・フレーズを覗かせる“Paint it Out!!!!”や、感傷的なシンセ・フレーズから飛び立つエモーショナルなロックの“Dear”など、KNOCK OUT MONKEYらしい豊富な音楽的ボキャブラリーも健在だ。混沌を混沌のまま終わらせない、といった執念が、このアルバムを聴き終えた瞬間のえも言われぬ爽快感を支えている。(小池宏和)
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