9mm Parabellum Bullet 最新作をひもとくソロインタヴュー×4!(2)
滝善充 “太陽が欲しいだけ”は、明るすぎないかっていうギャップを感じていて。そういうのがやっぱり新しく響くものなのかな
――こんな9mmは今までなかったし、革命的な変化で、そこには滝くんの考え方がものすごく反映していると思うんですけど。
滝善充(G) ちょうど私が骨折してお休みした3ヶ月は、もともと長期でお休みをとって、次に向かう曲を作ったりとか羽を伸ばしたりとか、自分のためになることをやろうみたいなことを決めてた時なんですよ(笑)。でも私は、何もできずに寝ているだけで過ごしてしまって。たぶん私の骨折とは関係なくこういうアルバムにはなってたんでしょうけど、骨を折ってとても残念な気持ちも悔しさも半分入っているみたいな。
――骨折のこともあるとは思うけど、9mmの中心として見られる滝くんとして、こういう抜本的な変化をするっていうことに関してはどう思う?
滝 変えるなら今回かな、みたいな感じもします。この前のアルバムは個人的に大満足で良かったので、本当に5枚目で出し切っちゃったなっていう感じがあって。ここから下手すると落ち着いちゃわないかなっていうので“生命のワルツ”みたいなメタルな曲を書いて。そこから伸びてきた新しいもので、フレッシュな感じで9mmが出せたんであったらいいものなんじゃないですかね。
――なるほどね。いや、やっぱり、基本的には滝くんの楽曲がメインで、誰の楽曲にしてもサウンドプロダクションは滝くんがリーダーシップを握るのが9mmなんだっていう概念があるから。概念が変わってないか?っていう感じがするんだよね。
滝 作った曲を作った人が中心になって制作を進めていくっていうスタイルはずっと変わらないというか。自分が初期の頃から曲を作っていて、ああだこうだ話し合ってめちゃくちゃになっちゃうのは困るから、曲を作った人がリーダーになって仕切りましょうみたいな感じを、みんなもそうしようっていうことになったので。
――僕の勝手なイメージですけど、滝くんはできることなら自分の頭の中に鳴っている音楽を、100%自分の思い通りに具現化したいっていうアーティスティックな完璧主義タイプの人だと思っていたけど、その方向からは今回は離れたわけですよね。
滝 自分でドラム叩いてギターもベースも全部弾いて録って、ボーカルもコーラスも、1回完璧に9割方埋め込んであるデモを作ってからメンバーに投げていて。自分がやりたい表現はもうほとんど入っているから、大筋で崩れなければ、バンド感が出てきたほうがただ強くなるっていうだけですね。
――なるほど。じゃあ、この全15曲の中で、特に自分として語りたい曲ってありますか?
滝 “太陽が欲しいだけ”かな。3、4年前ぐらいに作って、もう存在も忘れているような曲だったんですけど、アルバムの曲どうしようかな、ってスタッフさんと話している時に『あれがいいんじゃないですか?』みたいな感じでこれが出てきて。『なんか明るすぎない?』って言ったら、いやいや絶対いいみたいな感じだったから、そうかって言いながら作り込んで。やっぱり終わってみて、大丈夫かな、明るすぎないかなとか思ってたんですけど――最近ライヴでやり始めたら、もうエネルギーがやばい。こんなにハイパーな曲はやったことなかったんじゃないか、ぐらいのエネルギーが出て。音源で聴いても、パーっと明るく上に飛んでくるような印象もあるから。それが出せるということは、自分で咀嚼して飲み込めたのかなって。これからも表現として生かせていく感じがします。
――このアルバムを聴かせてもらった時に、“太陽が欲しいだけ”がもちろんリード曲だよねって訊いたら、“Lost!!”ですって言われて。絶対“太陽が欲しいだけ”だって言ったんだけど、今からはもう変えられませんって。
滝 “Lost!!”で行こうって言ったあとも、ちょこちょこいろんな人に聴かせると“太陽が欲しいだけ”の評判が非常にいいっていうのはありました。でもやっぱり、明るすぎないかっていうギャップを感じていて。
――そういう曲こそリード曲ですよ。やっている本人が「これちょっと○○すぎないかな?」ぐらいの曲が。
滝 そういうのがやっぱり新しく響くものなのかな。勉強になります(笑)。
――最後に聞いておきたいんだけど、これから9mmはどうなっていくんですか?
滝 メンバー全員方式をとるにしても、私はやっぱり今回曲が書けなかった悔しさみたいなものがアルバムを作っている途中から沸々と沸いてきてしまって。だからもう次のアルバムの曲を作り始めていて。家で缶詰め状態になって20曲ぐらい同時進行で作り始めて。もうぐったりしてひとりブラック企業みたいな感じでやっていたんですけど(笑)。
――すごいね。いや、今回こういうアルバムになったのが、滝くんの9mmに対してのある種の距離感の表れだったら悲しいなと思ったけど、そういうことはまったくなさそうだね。
滝 逆にできることはめっちゃやりましたし、でも客観的には見れたなって思って。ここまできてやっと、この人と比べてこういう感じだって自分の曲も批評できるようになったので。今までは完全に横なんて見られなかったんですけど。
――わかりました。ありがとうございました。
滝 ガンガン曲作ってますので(笑)。
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