雨のパレード シャープな感性で時代を切り拓く確信犯、メジャー進出!

雨のパレード

3月2日、雨のパレードがいよいよメジャーデビューを果たした。メジャーデビュー作となるファーストフルアルバムに付けられたタイトルは『New generation』。自ら新たな世代を名乗り、彼らが描く世界とは何か。「スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016」への参加でにわかに注目される存在となった今、新曲はもちろん、現時点での代表曲も詰め込んだフルボリュームのアルバムを軸にメンバー全員インタヴューでこのバンドの正体に迫る!

インタヴュー・撮影=小川智宏

ほんとに嫌気がさしてて(笑)。10代の頃かな。なんでこの音楽が売れてんだよって思いがすごく強かった

――メジャーファーストアルバムということで、過去曲を録り直してもう一回入れたりもしてるし、いろんな意味で雨のパレードの現時点の集大成みたいなところもあるのかなって思ったんですけど。作り終えてどうですか?

是永亮祐(B) ……がんばりました。

――(笑)どうがんばったんですか?

是永 時間がない中で最高のものを作ろうということで。かなり根詰めていましたね。

山﨑康介(G) これからデビューするっていうタイミングで、今の音楽シーンにはないような新しい一石を投じられる作品になったんじゃないかなと思ってます。派手派手なサウンドじゃないんで、全パートの一音一音にいろいろ気を配って聴いていただければなと。

大澤実音穂(Dr) 福永が考えた『New generation』っていうタイトル、コンセプトに近づけた1枚になったなっていう感じです。

――なるほど。福永くんはどうですか?

福永浩平(Vo) 『New generation』って銘打ってて、新世代っていう意味なんですけど。作り終わってから考えると、個人的には、バンドでありバンドサウンドでないっていうのがテーマだったのかなと思ってて。海外の、最近好きな人たちがすごく柔軟にやりたい音に貪欲になってるなって思ってて。なので、僕らもそれを意識した1枚になってると思います。

――今回のアルバムは『New generation』っていうテーマありきで作っていったんですか?

福永 そうですね。新曲に関してはそういうつもりで。お客さん含め、僕らでこれから時代を塗り替えていくっていうテーマのもとで書いてます。

――それは前回の『new place』っていうミニアルバムを出したときとは全然違う意識?

福永 あのときも潜在的にはやってたのかなって思っていて。新しい居場所を僕らが作るからそこにおいでよっていう。だからそこから意識が変わってきたのかなとは思ってます。

――昔の曲をリアレンジするっていう作業についてはどうでしたか?

山﨑 大筋があったので、一から作るのとはまた違った感覚だったんですけど。特に、“揺らぎ巡る(君の中のそれ)”は、最初の頃はサウンドメイクだったりアレンジだったりではザ・バンドサウンドな感じで。今回は今の雨のパレードに近づけたアレンジになったので単純に楽しかったですね。

大澤 もとの曲よりいいものを作るっていうことがすごい難しくて。『sense』のときと比べたら、パッドも導入したので、それもプラスされて、今の雨のパレードのサウンドになったと思います。

――今回のタイトルの「generation」っていうのは、音楽的な部分なのかそれとももっと広い意味なのか。どっちですか?

福永 たまたまなんですけど、僕が一緒にやりたかったアートディレクターの人とか、その子が連れて来てくれたメイクの人が同い年だったりして。そういう、音楽以外の別の畑の人でも同世代で信念を持って好きなことを追求してる人たちって結構いるんだなって感じてて。だから別のカルチャーでも僕は同世代にはシンパシーを感じてますね。

――自分たちはどんな世代だと思いますか?

福永 別の人たちはわかんないですけど――なんか、ほんとに嫌気がさしてて(笑)。10代の頃かな。なんでこの音楽が売れてんだよって思いがすごく強くて。だからなのか、自分たちの世代は、自分のこだわり、自分たちの好きな音楽を追求してるバンドが結構いると感じてるんです。僕らはアーティスティックな音楽とポップの間でせめぎ合ってるタイプだと思うんですけど、振り切ってるバンドもいるし。

バンドだけだと孤高になっちゃうのかもしれないです。なので、お客さんを含めて新しい居場所にできればいいですね

――なるほどね。その、世代観、同志とか仲間とかそういう感覚は、“Tokyo”で《僕らは夢を見てる》って歌ってるのが象徴的だと思うんだけれど。そういう感覚はアルバム通してあったんですか?

福永 そうですね。やっぱり東京は夢追い人が集まってる街だとは思うので、必然的にそういう人たちは意識して曲は作ってると思います。

――東京来てどれぐらいでしたっけ?

福永 もう4年経とうとしてる感じですね。

――その間に何か変わりました?

福永 いろんなことが変わったと思います。音楽的にも、もちろん影響は受けてると思いますし。一番身近なライヴハウスとかが影響されるところだと思うんですけど。やっぱり地元だと凝り固まってるので、こっちに来ていろんなバンドと対バンをするのはいい刺激になったと思います。

――この “Tokyo”っていう曲で描かれる「東京」っていうのは、必ずしも優しくないですよね。

福永 そうですね。逆に優しすぎるというか。中途半端でも生きていけるんですよね、東京って。すごく中途半端に夢叶えてる人たちが多いなって思ってて、それが仕事として成り立っちゃってる、みたいな。そういうニュアンスは曲に入ってるかもしれません。その生活に慣れちゃってる人たちもいるし、僕らだって全然夢叶えられてないけど、その生活を受け入れることに慣れてしまってるし。だからまあ、「調子はどう?」っていう感じですね。

――このアルバムに入ってる新曲としては、“Tokyo”が一番早くできたの?

福永 そうですね。“Tokyo”と“epoch”がほぼ同じタイミングでできてますね。地元の鹿児島のスタジオにちょっと篭ってる時期があって、そのときにできた曲なんですけど。“epoch”は比較的自分たちの今までのサウンドの延長線上でもっと先へ行きたいっていう気持ちで作ってて、逆に“Tokyo”は今までとは違って、バンドサウンドに目を向けて、それでも音が薄くならずに厚みを持つようにっていう。

――なるほどね。“epoch”の歌詞は?

福永 歌詞はアルバムとしてのコンセプトが見えてから書いてます。僕らで一緒に時代を切り開いていくんだっていう気持ちですね。

――《ここに孤独はないな》って歌ってるけれども、雨のパレードっていうバンドってやっぱり孤高な存在だと思うんですね。

福永 そうですね。バンドだけだと孤高になっちゃうのかもしれないです。なので、お客さんを含めて新しい居場所にできればいいですね。

――ライヴで歌ってる福永くんの姿とかバンドの演奏の姿って、わりとクールな部分があるじゃないですか。でも、このアルバムは、そこから溢れ出ちゃってる思いみたいなのがあるような気がして。それが新鮮で驚きだったんですよね。

福永 良かった。それを感じてくれたら本望ですね。

――そういうモードチェンジみたいなのがここ半年ぐらいであったのかなって思ったんだけど。

福永 なるほど。たしかにそうかもしれないですね。最近、雨のパレードのテーマについて考えていて。常に新しさとか新鮮味を受け手に与えることが雨のパレードなんじゃないかなと。楽曲にしろ、ライヴにしろ、活動の範囲にしろ。

――歌詞に使われる言葉も具体的なものが増えてきてますよね。

福永 前回のアルバムの最後にできた曲が“new place”なんですけど、それ以降はもうほんとに本音をぶつけるのが一番響くなって思ってるので。だから歌詞は意識しましたね。本心で時代を変えたいと思ってるので、それが聴いてる人にぶつかってくれたら嬉しいです。

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