この夏、ひたすらレミオロメンの曲をやったんですよ。それも含めて僕なんだから、ソロをやっていくならそういうこともやってこうよって思って

── でね、ちょっと思ったのは、半年ぐらい前にサンプラでライヴ見せてもらった時、いつもの藤巻くんのライヴを見た手応えが感じられなくて。プレイ自体は素晴らしいんだけれど、藤巻くんの音楽を奏でているまとまり感というか、手応えみたいなものがなくて。それはきっと藤巻くん自身がまだソロとしてやる音楽の肉体を持ち得てないのかなって。

「はいはいはい」

── で、この“wonder call”を聴いた時に、藤巻くんの作るポップス、あるいはロックを肉体化させるやり方として、こういうやり方ってあるんじゃないかなあと思ったんだよね。目的のためにこの筋肉を鍛えますとか、理由があって僕のサウンドはこうなったんですっていうんじゃなくて、自らが肉体的に音楽を作るっていう感じ。

「僕の中でシフトを切ったのがその中野サンプラザのライヴぐらいなんです。レミオとかソロとかを分けないでやるんだっていう入り口で。そのあとの夏と学祭ツアー、ひたすらレミオロメンの曲をやったんですよ。結局自分が作ってきた曲だから、そこに宿ってるものをもう1回確認することも含め、目からいろんなものが落ちた感覚があって。それも含めて僕なんだから、ソロをやっていくならそういうこともやってこうと思って。そういう中で一番最初に作ったのが“wonder call”なんですよね」

── 今の話聞いてめちゃくちゃ納得しました。戻ってきたんだね、自然に。

「1個のライヴをするっていう意味では『旅立ちの日』っていうミニアルバムの世界観をどう伝えるかみたいなことだとやっぱりちょっと弱くて。その中で、じゃあおまえは開きたいのかよ、届けたいのかよ、楽しみたいのかよっていうことが肉体感を持って定まってなかったところはあったと思うし。じゃあ “南風”とか“雨上がり”の高揚感とかどうだったろうなとか、自分の中で『このぐらいやってたな』っていうのがもう1回沸き上がってくる感覚はありましたね」

── レミオロメンの頃はだんだんプロフェッショナルになって、いろんな目的のために動くバンドにもなったけど、もともとは楽しくてやってたと思うんですよ。そういうものがきっと宿ってるんだと思うんですよね。ソロだと目標を定めないと歩けないし、課せられた使命みたいなものを全うしなきゃいけない部分もあるだろうから、楽しんでやるっていうところは後回しになりがちだもんね。

「でもやっぱり、歌うのは楽しいし、作るのが楽しいんですよね。だからそこに責任感とかが出てくる。その中で、こっちの世界しか歌えないことを割り切って歌ってくべきだし、向こうからどう見えてんだろうなっていう目線が加わって。それが健全なうちはいい作品になってるかもしれないけど、気になりすぎるとどうしても作品に勢いがなくなっていくし、痩せていく怖さも知ったわけで。なんでもかんでも強引に作らなきゃいけないっていうことはなくて、自分の中で湧いてくるなっていうタイミングもあれば、通えど通えど出てこない時期もあって。やっぱり時間しか解決しないことって世の中にあるというか」

── バンドだとひとりじゃないから、そこに楽しいことも悲しいことも、常に何か生まれる。でもひとりだと、自分で生み出さないと痩せていったり淀んでいったりしがちだから。吉井(和哉)くんとかも『ヨシー・ファンクJr.』とか、そういうことをすることによって――。

「かき混ぜてるんですよね」

── そうなんだよね。だから今回の、他の人がサビを作った曲をシングルにするのもすごくいい試みだと思うし、レミオロメン時代の曲をライヴでやることがいい形になったっていうのはすごく理解できる話だなあと。で、結果この“wonder call”が出てきたんだったら俺は素晴らしいなと。

「(笑)。そうなんですよねえ」

── これいいですよ、《big bangとinflation》《踊れ踊れ そう universe universe》(笑)。

「(笑)。なんの意味もない、ははははっ」

── そうそう。最高です。これをもっともらしく説明し始めたらさすがにぶち切れようかなと思ったけど(笑)。

「(笑)。携帯で歌詞書いてる感じがありますね、これね」

── 最高です。ありがとうございます。

「ありがとうございました」

スタイリング=三浦一樹(衣裳屋) ヘア&メイク=原田武比古(ARTSYLIFE)

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