JAPAN'S NEXT vol.10

昨年2月のキックオフから1年半、早くも10回目を迎えた新世代ライヴイベント「JAPAN'S NEXT」。記念すべき第10弾の出演バンドはuchuu,、Shiggy Jr.、シャムキャッツ、ミツメ、LILI LIMITの5組、どれも個性豊かなポップミュージックを鳴らしながら、「今」と「明日」を確かにつなげる、そんなバンドたちだ。RO69ではライヴレポートと恒例のフォトギャラリーで、いつもと一味違うヴァイブスを生んだこの夜の模様をお届けする。節目を越えてさらに突き進むジャパネク、これからにも期待してほしい。

all pics by 上山陽介

雑誌、WEB、ライヴと連動しながら新世代アーティストたちを応援していくROCKIN’ON JAPANのプロジェクト「JAPAN’S NEXT」。記念すべき第10回目の開催となったこの日のライヴイベントは、音楽の「魔法」を信じ、体現していく5組が集結した。

LILI LIMIT

トップバッターは、7月8日にファーストミニアルバム『Etudes』をリリースしたLILI LIMIT。同期音とメンバーの生音とが絡み合うアンサンブルを経て、静かに登場したJyumpei Makino(Vo)による“Girls like Chagall”の歌い出し――そんな登場シーンから彼らの世界に巻き込まれる。アーティスト写真と同じく全員衣装が真っ白だ。佇まいや音源を通して潔癖に近い精巧さを感じたが、それを全部飛び越えるような、地面を歪ませるアンサンブルにハッとさせられる瞬間多数。身振り手振りを交えながら歌うMakinoは独特な存在感を放つが、「……緊張、しています」とたどたどしく話すMCとのギャップには驚いた。共に音楽を鳴らすメンバーたちのことを「こんなに個性の強い人に囲まれたことがないから正直怖い」とこぼしながらも「アベンジャーズのように最強のチーム」と喩える。そんな5人でこれからも進んでいくんだという意志を、“at good mountain”に託していったのだった。

  • 01. Girls like Chagall
  • 02. h.e.w.
  • 03. zine line
  • 04. in your site
  • 05. at good mountain

uchuu,

エレクトロを軸にしたハイブリッドなダンスミュージックを鳴らすバンド、uchuu,。互いの音がガシガシぶつかり合いながら高め合い、歌声が真っ直ぐに伸びる1曲目は“AnswerSong”。初っ端から、自らの腕で視界をこじ開けていくような熱量とカタルシスを感じたし、楽器を振り下ろしながら「ありがとう!」とオフマイクで叫ぶK(Vo・G・Prog)はかなりの熱血漢と見た。「あなたたちが人生に必要だと今日は伝えようと思って」「繰り返しの毎日でも大切なものを見つけさせてくれるのが音楽の力だと思います」と語ったあと、一際温かく響いたのは“million days, million nights”。メンバーもオーディエンスも柔らかい表情をしていた。自身のツアー後一発目のライヴだったこの日、「今日がスタート」という気持ちで臨んだという彼ら。そして「NEXTっていうだけあって、過去を変えるために今日があります」と鳴らされたのは“HELLO”。自らの未来を力強く照らしていくバンドの強さが表れた快演だった。

  • 01. AnswerSong
  • 02. TimeRP
  • 03. million days,million nights
  • 04. TravePastViewPOINT
  • 05. HAPPY
  • 06. HELLO

ミツメ

「こんばんは、ミツメってバンドです。よろしくお願いいたします」。川辺素(Vo・G)が一言そう挨拶して、“cider cider”からスタートさせたミツメ。川辺が右手でシンセを弾き、左手でシェイカーを振りながら歌ったり、大竹雅生(G・Syn)がギターとシンセの二刀流だったりと、担当楽器に捉われることなく自由に演奏をするバンドだ。uchuu,と同じく、こちらもこの7月にリリースツアーを終えたばかり。曲が進むにつれて徐々に熱を帯びていくバンドのサウンドと、柔らかさのなかに少しの気怠さが溶け込む川辺の歌。そして、余白の作り方から塗りつぶし方まで、淡々としているようで実は思いっきりドラマチックなアンサンブルの妙が光る。日常に寄り添いながらそれを穏やかに照らす『めまい』からの楽曲も披露。最初と最後の挨拶以外はMCもなく、基本的に須田洋次郎(Dr)のビートが曲間を繋げていく構成。ギターとベースの音が美しく滲む“Disco”でライヴを終えたのだった。

  • 01. cider cider
  • 02. 忘れる
  • 03. めまい
  • 04. Alaska
  • 05. ブルーハワイ
  • 06. ささやき
  • 07. Disco

Shiggy Jr.

キーボードをサポートに招き5人編成のShiggy Jr.は、「ここからまだまだ盛り上がっていきたいと思います!」と池田智子(Vo)の笑顔が眩しい。ミラーボールが回るなか“LISTEN TO THE MUSIC”で幕開けだ。間奏では原田茂幸(G・Cho)&森夏彦(B)による肩を上下させる謎のダンスも披露しつつ、キュートな歌声と光を乱反射させるサウンドでフロアを温めていく。一転、リズム隊の音の絡み方が心地よいAOR“baby I love you”では、曲が始まると同時に池田が凛とした表情に変わったのも印象的だった。MCでは「曲はキラキラしていてポップだけど、夏にキラキラした思い出のひとつもない」(池田)と自虐しつつ、ROCK IN JAPAN FESTIVALの出演や秋に控えたシングル&ツアーについて告知。コール&レスポンスや、ギター→キーボードのソロ回しなど、盛りだくさんの“Saturday night to Sunday morning”で華やかにステージを終えた。

  • 01. LISTEN TO THE MUSIC
  • 02. dance floor
  • 03. oh yeah!!
  • 04. baby I love you
  • 05. サマータイムラブ
  • 06. Saturday night to Sunday morning

シャムキャッツ

トリはシャムキャッツ。豊富なキャリアを持つが「変化を生み続ける『ネクスト』なバンド」ということで呼んだのだと、ROCKIN'ON JAPANの小川智宏は前説で語っていた。藤村頼正(Dr・Cho)が強くキックを入れれば夏目知幸(Vo・G)が「いいね!」とギターを掻き鳴らし、菅原慎一(G・Vo)と大塚智之(B・Cho)が加勢して4人のサウンドが広がる――という姿を見ているとこちらまでワクワクしてくる。リラックスしたMCのあとには、水面のように揺らめく“GIRL AT THE BUS STOP”を届けた。“AFTER HOURS”冒頭、4人ともニヤついていると思いきや中断、「もっかいやるわ!」と演奏をやり直す場面も。そして「2009年に1stを出したからルーキーじゃないけどね。でも何が言いたいかっていうと、俺らもまだまだこれからだよねってこと」と“PM 5:00”で本編終了。再登場を望む拍手に応えてのアンコールでは「去年のROCK IN JAPAN で『いつかGREEN STAGEに』と間違えてもうダメかなと思ってたんですけど……」と夏目。そんな暴露を経て、“SUNDAY”で晴れやかに幕を閉じたのだった。

  • 01. LAY DOWN
  • 02. KISS
  • 03. GIRL AT THE BUS STOP
  • 04. PEARL MAN
  • 05. MODELS
  • 06. AFTER HOURS
  • 07. PM 5:00
  • (encore)
  • 08. SUNDAY

なお本公演の模様は、GYAO! MUSIC LIVEにて8月6日~9月5日の期間限定でアーカイブ配信を行うことになっている。当日見逃した方はぜひチェックしていただきたい。(蜂須賀ちなみ)

↑TOPに戻る

公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする