≪どうやって僕は僕のままで変わればいいんだろう？≫っていうところにとことん向き合った。でも追い込まれていって、いいものができる時もある

――傍で見ていても、歌詞が変わってきたなっていう実感はありました？

吉田 まず固有名詞がこんなに出てくることないですよね。“LITTLE CITY”とか、“GUILTY”とか。

――新宿だったり東京だったり。

吉田 ≪16番線≫っていう。それだけで、完全に自分のことを歌ってるなってすぐわかりますもん。

中神 前のアルバムとかの歌詞って、わりとファンタジックな部分があってあまり生活感がなかったんですよね。もともとは生活感もあったんですけど、それをあえて歌詞には載せないっていう美学があったと思うんですけど、今回は固有名詞も出てきて、だからこそみんなも共感できるというか、リアリティがすごくある。だけど、そのリアリティがある中で切なさももちろんあるし。

羽深 一種の諦めじゃないけど――自分ってもっとかっこいいんだぜっていうものを身に纏いたかったってところがずっとあったんですね。でも今回は、自分ってほんとはかっこ悪いんだよっていうところを出せたというか、そのほうがリアルだった。

――いろんな自分がいていいんだっていうのを受け入れた？

羽深 ああ、そうですね、諦めというよりもちゃんと受け入れたというか。みんな絶対小さい頃とか、今も職場とか学校とかで叱られるじゃないですか、その感覚ですね。叱られたら変わらなきゃいけない、だって同じことしたらまた叱られるわけだから。でも結局自分はそのままで変わりはないわけだから……“ハートソルジャー”の一節にもあるように、≪どうやって僕は僕のままで変わればいいんだろう？≫っていうところにとことん向き合った結果だと思います。だから、題材を「自分」にしたら結構リアルでいいなって思ったんですね。追い込まれていって、いいものができる時もあるんだなって思いましたし。もうほんとに、一皮むけて、骨太になった僕らを感じてもらえればと思います。決して今までのことを無駄にするわけでもないっていうことも、聴いていただければわかると思うんで。ライヴも楽しくなると思います。鋭い、切実な思いを突き刺すのではなく、温かいものになるとは思いますね。

吉田 ≪どうやって僕は僕のままで変わればいいんだろう？≫っていうのは、バンドをやってる人も、他の人も、ずーっと思い続けていくことだろうし、僕はこのバンドをやってる以上、ずっとそういうことを思い続けていくと思うし。“ハートソルジャー”だけじゃなくて他の曲も、自分が抱える葛藤とか「でも変われないし、どうやっていけばいいんだろう？」っていう、そういう曲が揃ってると思うんですけど、だからジョゼにとって自分にとって、このアルバムは一種、答えてくれるような、一生そばにいてくれるアルバムになるのかなと、今はそう思ってます。

中神 『YOUNGSTER』っていうタイトルだけあって、僕らの中にある若さを前面に出しているアルバムなので、聴いてくれたりライヴを観てくれる人の、そういう若さを引き出せたらいいなとも思うし。ライヴでも若い感じでガンガン来てほしいですね。

羽深 「進まなきゃ」というか、使命感じゃなくて、3人とも夢を持って活動してるわけなので、「止まってるな」って思う自分がちょっとでも見えたら、ドンッと背中を押してやりたいアルバムですね。だから春人が言ってたように、歳取って聴いても、突き動かせるようなアルバムになってほしいと思ってます。

――なるほど、それは聴き手にとってもそうであってほしいっていうことですよね。

羽深 もちろんです。みんなの曲で、みんなのアルバムになってほしいですね。今まで欝々とした、ダークな曲を作っていた時期もあるんですけれども、そういうバンドにはもう絶対に戻りたくないし、もう振り向きたくないです。ただ、そういう曲を殺すというわけではなく、今のテンションのまま昔の曲をやりたいし、今の体温のまま昔の曲を未来に引っ張っていきたいと思っています。