普通は見せなかったり言わないようなこと、みんなが隠しておきたいところをあえて見せちゃうみたいな、そういうとこがあるというか(笑)
――そこから“mirror”に歌詞をつける作業はどうだったんですか?
「“mirror”はバーッて書けました。まずストーリーを書いていったんですよ。そこから歌に落とし込んでいく作業になったんですけど、ここの場面を伝えるにはどの言葉を入れたら一番いいんだろうっていうのをすごく楽しみながら悩んでいて。ホリエさんも手助けしてくれて今の歌詞になりました」
――《わたし》とか《きみ》がごちゃごちゃになってるじゃないですか。混乱してくるでしょ。どっちが本物でどっちがミラーなのか、みたいな。
「そうなんです。最終的には鏡がこっちの世界に来てしまって、こっちの世界の人物が鏡の中に入れられてしまうという物語で。自分の中の二面性っていうのはずっとテーマなのかなって思ってて。今まで書いてきた曲の中でもキーワードみたいな感じで『鏡』って出てくるから。もし私の鏡が、私よりももっとオリジナルに近い、私を超えたオリジナルになりたいと思ったらどうなるんだろうなっていう妄想から入ってると思うんですよね」
――“mirror”っていう曲は真正面からその二面性に向き合っていて。大げさに言えばアーティスト・まじ娘のメインテーマみたいなものだと思うんですね、二面性って。でも今まではなんとなくあるモチーフだったのに、それを今回は一番の主題として書いたっていうのは、すごく大きな変化だと思うんだけど。
「ははは! ほんとですか。普通は見せなかったり言わないようなこと、みんなが隠しておきたいところをあえて見せちゃうみたいな、そういうとこあるというか(笑)。二面性って誰しもあると思うんですよ。私も著しくあるというか、そこをあえて出しちゃおう、みたいな(笑)」
――実際こうやってしゃべってるまじ娘と、ステージで歌ってるまじ娘も、全然違う人格だったりもするじゃないですか。
「うん、そうですね」
――そういうものも含めて、音楽やり始めて、自分で歌い始めて気づいた新しい自分みたいなのもあると思うんですよ。
「そうかもしれないです、新たなる発見っていうか。でもこうやって自分の名前がポンポンと一歩ずつ世に出ていくたびに離れていくものもあるというか、客観視してるところもあって。だから歌詞とか曲っていうのはほんと無意識で、ずっと言いたかったこととか思ってることが不意に言葉に出てしまうので、それは何のフィルターも通さずに歌詞にしたいなって思っていて」
――自分の言葉だと歌も変わりますよね。
「変わってきますね。話し言葉のように歌えるなとは思ってました。今までもそういうふうに心がけてはいたんですよ。誰かが作って下さった曲でも、実は私こういうふうに思ってるんだよってことを喜怒哀楽を通してできたらなって。自分の書いた曲はやっぱり自分の言葉だから、頑張らなくてもそれがスッとできるから、なんか恥ずかしいかもしれないですね(笑)」
ライヴの気持ちよさを知って、私はこういうことに傷ついて、こういうことに喜びを感じて、これが悲しくて苦しかったんだって、やっと言えた時の感覚に近かったんです。それがたまらなく自分の救いだった
――今回は自分の中にある言葉とかメロディを一生懸命探し出して作ったわけで。しかもそれを外に向けて。そういう作業をすることで、まじ娘さん自身にとっても大きな効果があると思うんですけど。
「これができたから、今笑えるんだろうなって思ってて。この言葉たちが世に出るっていうことは、自分の混沌としたものが放出されるっていうことで。だから“ダージリン”を書いた時の気持ちも“mirror”を書いた時の気持ちも、全部報われるって思っています」
――音楽を通してそういうことをしてなかった時は、その混沌はどこに行ってたんですか?
「私、高校時代とか音楽しかなかったんですよ。インプットばっかしてたんです、悪いものもいいものも全部入れて、それを出すところがなかったから、なんかもう引きこもりみたいな、じーっとしてる、みたいな。自分の部屋の窓にシャッターがあるんですけど、それを閉めて、もうひとつの窓も黒い布で覆って、朝か夜かもわからないようなところでずーっと歌を歌ってたんです、引きこもってる時に。人前で歌うのもほんとに大っ嫌いだったんですけど、ライヴに何回か出させてもらううちにライヴの気持ちよさを知って。私はこういうことに傷ついて、こういうことに喜びを感じて、これが悲しくてこれが苦しかったんだって、やっと言えた時の感覚に近かったんです。それがもうたまらなく自分の救いだったんですよね」
――だからまじ娘さんは自分が感じてること、自分に見えてる世界をわかってくれる人間がどこかにいるはずだっていう思いがあったんだけど、実際まわりにはいなくて、だから閉じこもるしかなかったわけだと思うんだよね。でも、音楽とかニコニコ動画っていうツールによって、「私と同じ人っているじゃん。もっと普遍的なものじゃん」っていうとこに気づけて、だから、もっと自分を開いて出してったらいいじゃないかっていうモードにチェンジできたんじゃないのかな。
「たぶんそうだと思います。今まで自分がやんないようなこともやってみちゃおう、みたいな大胆さがついた気がします。昔はほんと『いや、いいです……。私そういうの苦手なんで』みたいな感じだったので、あの時の自分が見たらほんとびっくりするというか、絶対『えー!』ってなると思うんですけど」
――でも楽しいんでしょ?
「楽しいです。だから人って変われるなあって思ったりします」
――たぶん、まじ娘っていう人はずっと表現者だったと思うんですよ。自分の中に溜まってるものを表現したいっていう欲求はずっと抱えていて、初めてその表現欲求と人とのコミュニケーションみたいなものが一致したというか。
「うれしいです。やっとその地点に立てたのかなって自分でも思ってます。“mirror”も“ダージリン”も、ホリエさんや制作に関わってくれたメンバーが褒めてくれて。それまでは自分の曲って全然自信がなくて、あんまりわかってくれる人がいないっていうか。だからすっごくうれしかったんですね」
――アルバムの時は、自分の曲は最後にちょこっとこっそり入れてるって感じだったじゃん(笑)。
「1曲だけこっそり(笑)」
――でも今は違いますもんね。自分で看板背負って街を練り歩いてる感じですもんね。
「はい。頼むよ、みたいな感じで。やっぱり自分の世界観をファンの人たちに知ってもらいたいっていうのはあって。まじ娘ってどんな人なの?みたいな。これからは自分が今まで見てきたこととか感じたことを、私の人生は私しかわからないから、それを独自性として歌に出せていけたらって思ってます」
ミュージックビデオ
リリース情報
1st Single『mirror』2015年11月18日(水)
限定盤(CD+DVD)
¥1,750+税 QWCE-00528
<CD収録内容>
- 1. mirror / Music:ホリエアツシ、Lyrics:まじ娘
- 2. 彗星のパレード / Music & Lyrics:ホリエアツシ
- 3. ダージリン / Music & Lyrics:まじ娘
- 4. Englishman in New York / Music & Lyrics:GORDON SUMNER(STINGカバー)
<DVD収録内容>
東京キネマ倶楽部でのワンマンライヴ映像を収録
通常盤(CD+GOODS)
¥1,200+税 QWCE-00529
<収録内容>
- 1.mirror / Music:ホリエアツシ、Lyrics:まじ娘
- 2.彗星のパレード / Music & Lyrics:ホリエアツシ
- 3.ダージリン / Music & Lyrics:まじ娘
- 4.アストロノーツ / Music & Lyrics:椎名もた
2nd Album『Magic』2016年1月20日(水)
限定盤(CD+DVD+特典)
¥2,800円+税 QWCE-00557
<CD収録内容>
- mirror / Music:ホリエアツシ、Lyrics:まじ娘
- 彗星のパレード / Music & Lyrics:ホリエアツシ
- タイトル未定 / Music & Lyrics:haruka nakamura
- タイトル未定 / Music & Lyrics:A-bee
- タイトル未定 / Music & Lyrics:荒井 岳史(the band apart)
- Days / Music & Lyrics:森 勇介(locofrank)
- タイトル未定 / Music & Lyrics:monaca:factory
- タイトル未定 / Music & Lyrics:CapsLack
- Magic / Music & Lyrics:まじ娘
<DVD収録内容>
「mirror」ミュージックビデオ
メイキング映像
オフショット映像
通常盤(CD+特典)
¥2,300円+税 QWCE-00558
<収録内容>
- mirror / Music:ホリエアツシ、Lyrics:まじ娘
- 彗星のパレード / Music & Lyrics:ホリエアツシ
- タイトル未定 / Music & Lyrics:haruka nakamura
- タイトル未定 / Music & Lyrics:A-bee
- タイトル未定 / Music & Lyrics:荒井 岳史(the band apart)
- Days / Music & Lyrics:森 勇介(locofrank)
- タイトル未定 / Music & Lyrics:monaca:factory
- タイトル未定 / Music & Lyrics:CapsLack
- Magic / Music & Lyrics:まじ娘
※その他、追加収録予定。
※限定盤、通常盤、ボーナストラックは別の楽曲を収録予定。
※収録内容は変更となる場合がございます。
ライヴ情報
「Magic of LIVE」
- 2016年1月31日(日) 大阪・心斎橋Music Club JANUS
- 2016年2月6日(土) 東京・LIQUIDROOM
提供:エグジットチューンズ
企画・制作:RO69編集部